奇想天外な科学実験ファイル/アレックス・バーザ 鈴木 南日子
歴史を変えた!?奇想天外な科学実験ファイル アレックス・バーザ 鈴木 南日子 エクスナレッジ 2009-08-25 |
絶対にタブーなんだろうけど、やっぱり、ちょっと気なる“疑問”は、誰にでもあると思う。
ましてや、それを実験してみる…なんてあり得ない…と思っても、そういう実験はおそらく、誰かがやっているものなのかもしれない。
ギロチン後の意識、ヒトとサルの交配…といったおぞましいものから、どうして自分を自分でくすぐってもくすぐったくないのはなぜ?といったものまで、 80近いさまざまな実験が紹介されている。
おぞましい…と言えば、1954年、ソ連で発表された“双頭のイヌ”の実験。
これは、外科技術の優位性を世界にアピールするため、1匹のイヌの首に、に子イヌの頭と前足を移植し、双頭のイヌを作ったものだった。
当時、スプートニクショックという言葉に見られるように、当然、アメリカも黙ってはいなかった。
対抗してアメリカは、頭を切断したサルの身体に、別の機能をしている頭を接合しようとした。実験を重ね、ついに、1970年、サルの頭全体を移植する手術に成功する。
こういったことが行われるのは、まさに「“そういう時代”だったからこそできた」…というしかないと思う。
おもしろいなと思ったのは、ゴキブリにレースさせた実験。
ゴキブリを一緒に競争させるのではなく、あくまで、他の仲間(ゴキブリ)が観客として見ている状態で走らせると、なぜかより速く走ることが証明されたのだ。
観客がいると能力が高まるという。
でも、集中力を伴う複雑な作業ではむしろ逆の結果となった。
これは「社会的促進」を証明するための実験だそうだが、ニワトリ、ムカデ、金魚などでも同様の結果になった。
人間ばかりではなく、動物共通に見られる現象であるのがおもしろい。
あるテストが紹介されていて、そのテストをするための動画を見つけた。
集中力のテストだ。
ビデオに登場する白い服を着たチームと黒い服を着たチームが登場する。この2つのチームのうち、白い服を着たチームが何回パスをするかを数えるというテスト。
実は…
集中力のテスト…というのはウソで、本当は人間の脳が同時に注目できる情報量がわずかであることを証明するテストだった。
途中で、ゴリラが画面中央に現れる。ただ前置きなしにビデオを見た人であれば全員気づくものの、前述のような指示を受けると、ゴリラに気づくのは、5割しかいないという。
ちょっと、きわどい感じの話もあったが、知的好奇心を満たしてくれた本だった。