東京右往左往/モリナガ ヨウ

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4499229200 東京右往左往―TOKYO GOING THIS WAY AND THAT
モリナガ ヨウ

大日本絵画 2006-08
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東京のいわゆる観光名所ではない場所ばかりを巡った記録をつづるイラストルポ集。国内旅行情報誌「じゃらん」で3年間にわたる連載を再構成したのがこの本。

前後編に別れた記事を含んで全64編、イラストレーターのモリナガ・ヨウとじゃらん編集者飯村智奈の2人が、歩いたまま見たままをひたすら記録している。写真や文章ではなく、すべてイラストで表現されているところが、想像をふくらませる。

その一方、文字が小さい上に、すべて手書きであることから、ちょっと読みにくく、ときどき書いてあることが判別できないのが、軽くストレスを感じてしまった。

東京は、複数の“巨大な街の集合体”のようなものだ。人って育った環境によって愛着の持つ街は決まってくる。それは東京に住んでいない近郊の人にとっても同じことで、東武東上線や西武池袋線沿線ならば、東京といえば「池袋」のことだし、JR中央線、小田急線や京王線沿線ならば「新宿」、東急沿線ならば「渋谷」といった感じで、東京都その沿線には強く愛着を持つものだ。一方、そこから離れた山手線で言えば“反対側”のようなところに対しては、なかなかイメージが湧きにくいのではないだろうか。

そしてそれは「赤羽って埼玉じゃないの?」のような、ある種の偏見や誤った認識につながることもある。

しかし逆に捕らえれば新鮮な発見にもつながることもある。この本はそんなことに気付かせてくれる。

都内のさまざまなデパートの屋上を巡ってみるとか、真夏の炎暑にいかにも暑そうだということで行った暑いモン見本市の「蒲田」、日比谷から有楽町にかけての地下道を巡る「夢の地底ハイキング」、「君は東京大仏を知っているか」など、僕もやってしまいそうな企画がいろいろ載っている。東京大仏などはこの前行ったばかりだ。

もともと、環七通り一周を企画したとき、実際に実行に移した話が出ているということで、手に取ったのだが、実際は自動車でしかもかなり順調に回ってしまったため、これといって特記するような話ではなかった。このとき掛かった時間はロスタイムを除いて約3時間。今回のママチャリでは、なんと7時間半程度で回れてしまったことを考えると、相当のスピードで回ったのだと実感。