イラク戦争と情報操作/川上 和久
宝島社新書「イラク戦争と情報操作」 川上 和久 宝島社 2004-07-28 |
図らずも、アメリカ同時多発テロから3年経った頃から読み始めた。これまでの戦争報道を振り返ってみると戦争に突入するまでの流れも含めて、興味深いことに全く同じような経緯をたどっていることがよくわかる。歴史は繰り返すのだ。…いや、同じような経緯をたどるように仕向けているのかもしれない。
かつてアメリカの「宣伝分析研究所」というところで、プロパガンダは「7つ」に分類できることを見いだしたという。これが発表されたのは第二次大戦頃だったらしいが、まさに今でも通用する事象ばかりなので、そのまま引用する。
- ネームコーリング
- 攻撃したい相手に対して、悪いイメージのレッテルを貼る操作…イラクを「悪の枢軸」と名指しした。
- 華麗な言葉による普遍化
- 対象となる人物や集団、あるいはその行為を多くの人たちが普遍的価値と認めているような価値と認知的に結びつける手法…イラク戦争の際、「不朽の自由作戦」と名付けた。
- 転移
- 多くの人たちが受け入れやすい、権威ある存在を見方につけることによって、自らの考えを正当化しようとする試み…大統領の外交姿勢は、キリスト教原理主義と結びついているらしい。
- 証言利用
- 信憑性があると認められた人物が語った、という形で人物の証言を利用することで自らの説得製を高めようとする手法…イラク反体制派の人物による証言を何度も利用した
- 平凡化
- コミュニケーションの送り手が、受け手と同じような立場にあることを強調することで親近感を得ようとする…大統領は庶民的イメージを植え付けるのに腐心している。
- カードスタッキング
- トランプでいう「いかさま」都合がいい事柄を強調し、都合が悪い事柄を隠蔽する…まさに現在イラクで起きていると言えないか?
- バンドワゴン
- 大きな楽隊が目を引くようにその事柄が世の中の趨勢であるかのように宣伝する方法…こちらも、イラクに隠されているとされた大量破壊兵器の話は記憶に新しい(結局見つからなかったが、この際見つからないことはどうでもいいことのようだ)
(2004/9/26) 【★★★★☆】 -04/09/11更新