地図から消えた東京物語/アイランズ(著)

■建築・都市,龍的図書館

4808509571 地図から消えた東京物語―新旧地図で比較する東京の20年
東京地図出版 2009-01

by G-Tools

東京の、江戸や明治のころと現在を比較すると「こんなにも変わったのか」とびっくりすることがあるが、これが、たった20年という期間でも、かなり変化していることにもっと驚く。

この本のサブタイトルは「新旧地図で比較する東京の20年」というもので、新旧の地図を並べて、その変化を楽しもうというのが、本書の主な目的である。

・後楽園球場→東京ドーム
・汐留貨物駅→汐留(シオサイト…って誰も言わないけど)
・恵比寿ビール工場→恵比寿ガーデンプレイス

など、大規模な再開発で大きく変わった街はもちろん、霞ヶ関や大手町など、省庁や金融再編によって、おなじみだった省庁名や銀行名が消えてしまっているなど、20年前の地図の見どころなどもよくわかる。

新宿を見ると、いまの都庁があるあたりは広大な空き地になっているし、高島屋付近はまだ貨物駅が残っていた。更地になった直後は、イベントスペースになってたはずで、父に連れられて来た記憶がある。渋谷にはまだプラネタリウムがあった。

なかでも、もっとも印象的だったのが、池袋にあったマンモスプールだ。1993年10月に閉鎖されてしまったそうだが、父に連れられて泳ぎに来たことをふとを思い出した。いまでは豊島区清掃工場(ゴミ焼却施設)になっていて、高い煙突がよく目立つ。

消えてなくなったものばかりでなく、逆に20年の時を経て生まれたものとして、レインボーブリッジや台場などの変化は、地図を見ると一目瞭然。

かつて、フジテレビができる前の台場を一人で歩いたことがあったが、本当にまったく何もない荒涼として世界で、本当にここが東京か?と思うような場所だったのを思い出した。

20年前…1980年代といえば、僕にとっては、それほど昔のことではないように思えてしまう。でも、地図を見ると、その時間の流れを、否応なく痛感させられてしまう。