1052 ある事件
熊本のあるホテルで、ハンセン病療養所の元患者たちの宿泊を拒否した問題は、悲しむべき問題なのかも知れないけど、むしろ偏見が表面化したことは、不幸中の幸いだったような気がする。
多くの場合、偏見や差別は、潜在的なものになりがちだ。それがこうして、公となり、まだまだ偏見や差別が、根強く残っていることを曝け出した。
いくら事実を教えたとしても、信念として偏見を曲げないという人たちに対して「偏見はよくない」という呼びかけはあまりに無力な気がしてならない。
今回の件ではホテル側が折れた形だが、本心はどうなんだろう?おそらく何にも変わっていないだろうな。
以前はあまり偏見や差別の存在を顕在化することはかえって増長するのではないかとか、知らない人には知らないままにしておいた方がいいのではないかと思っていたが、今回の事件を通じて、残念だけど、今回のような事件を何度か経験していくことで、むしろ偏見や差別を風化させることなく、問題を提起していく必要もあるような気がした。