531 20世紀の鎚音

定点観察

ちょっと前になるが、NHKの人気番組「プロジェクトX」が、本になって図書館にあったので、当時蔵書していた9巻を一気に読んだことがある。以前から「開発秘話」みたいな話に興味があったので、あっと言う間に読み終えたっけ。で、読み終えちゃうと、次の本はないか?・・・と探して見つけたのが、「メタルカラーの時代」(山根一眞著/小学館)。◆プロジェクトの開発担当者と著者との直接対談によって、まさに「プロジェクトX」と同様、その軌跡を追う・・・みたいな内容で、出版されたのはかなり昔の1993年9月。もう9年近く前になるが、現代の生活の礎となったことばかりなので、あまり古さは感じられない。まぁ、それにしても、あらゆるモノやサービスの生まれた背景には、いろいろな思いや理由が込められているので、びっくりする。◆ここで出てきたお話のひとつ。そういえば、かつて大きな建物の建設現場でよく聞かれた、杭打ち機の「ドーン、ドーン」という音、聞こえなくなって久しいと思いませんか?これは、練りつけた泥で孔壁を崩れないように保持して、杭を杭自身の重さでズルズルと埋めこむ「ニーディング工法」が主流になったために、建設現場の騒音の発信源だった「杭打ち機」は、急速にその姿を消したそうな。◆でも、杭打ち機のあの音は、いかにも「いま、作ってます!!!」みたいな、躍動感にあふれていて、うるさかったけど、嫌いじゃなかった。もしかして、今の若い人では、もう知らない人も多いのかな?まさに20世紀の鎚音なんだと思う。

Posted by ろん