8148 静寂を切り裂くPayPay♪の余韻
朝の通勤電車の車内は、驚くほど静かだ。
話し声ひとつ聞こえず、少し離れた人が漏らしている音楽さえ、はっきりと耳に届いてくる。
こうした静寂はエレベーターの中などでも同様で、わずかな音さえも空間に際立ってしまう。
そんななか、不意に静寂を破って響く音がある。
「PayPay♪」
ああ、今誰かが決済をしたのだな、と誰もが察する瞬間だ。
そして、追い打ちをかけるように続くあの独特のフレーズ。

「スクラッチチャンス♪」
この「PayPay♪」という決済音自体は、本人の意図しない決済を防ぐため、あるいは周囲や店員に完了を知らせるために消せない仕様なのだと聞いたことがある。
しかし、続く「スクラッチチャンス♪」まで鳴らす必要があるのだろうか。
それはあくまでアプリ内のキャンペーンに過ぎず、周囲に知らしめるべき必然性は本来ないはずだ。
立て続けに鳴り響く電子音に、決済した本人が最も焦りを感じているのではないか。
そう想像すると、こちらまで何だかいたたまれない気持ちになってしまう。