7983 藝大コレクション展2025 名品リミックス!

東京藝術大学美術館で開催されている「藝大コレクション展2025 名品リミックス!」を鑑賞。
国宝・重文から退任教員の新収蔵作品まで、藝大の誇るコレクションを紹介する展覧会だ。
会場は、地下のひとつのフロアだけだが、制作年代もジャンルの幅が広く、とても盛りだくさんだった。

柴田是真《千種之間天井綴織下図》
式典や宴のあとに人々が憩い歓談するための広間である、明治宮殿千種之間の格天井を彩る綴織の装飾だそう。
是真というと、漆絵みたいなちょっと濃いめ?の作品が多いような気がしたから、本作品はちょっと意外な気がした。(まぁ知らないだけのかもしれないけど)
坂田哲也《わたしの肖像》
1995年から2020年まで教鞭をとった教員の作品。
解説を読まないとよくわからなかったが、オニオオハシの頭骨や針金などで作られていて、これのどこが“わたし”なんだ?と思ったら、なんと、“わたし”と書いてあるではないか!
平櫛田中《鏡獅子試作》は、かなりリアルな木彫の作品。
先日テレビで見たばかりだったので、作品を見てすぐに分かった。
この作品を作る筋肉や骨格などの肉体構造を正確に捉える必要があるため、裸体の作品も作るという念の入れようだ。
こだわりが伝わってくる。

小場恒吉「日本文様史」図版資料
かなり地味ではあるけど、国内外の考古資料や古美術品の文様を集めた、小場恒吉「日本文様史」図版資料も興味深かった。
こうした切り口の研究もあるんだと驚くと同時に、紹介されている文様を見ても、さっぱりよくわからない世界だとも思った。
いま、ある漫画家による”トレパク”が話題になっているが、模写自体は技能向上には不可欠な行為だろうし、紹介されていた作品は、それ以上に意味があった。

藤島武二《ペルジーノ像》 は、伝ラファエロ・サンティによる作品の模写だそう。
ただ、原作は 1911年に全面的な上塗り除去を含む修復が施されてしまい、それまでの作品の印象が大きく異なっているそうだ。
そういう意味で、この模写は修復前の原作の姿を今に伝える、非常に重要な作例なのだ。

最後に、展覧会冒頭にあった作品の解説があった。
狩野芳崖《悲母観音》に着想を得て、瓦礫の海から嬰児を救い上げる観音菩薩《秋一悲母観音》に描き、東日本大農災の被災地に対する救済の願いと祈りを込めたそうだ。
確かにあらためて見ると、津波の被害にあった建物が見える。
この作品は”模写”ではないが、過去の作品を受け継いで、独自の解釈で創造しているといえる。
解説に、
「うつすこと」は単に同じようなかたちを再び作り上げる一過性の行いなのではなく、先人の祈りや思いをも受け継いでいく営みであること
とあって、とても重要な視点だと思った。
ただ作品とはまったく関係なく、思ってしまったことがあった。
それは、あのような大規模な自然災害をもたらすなんて、”神も仏もない”ということ。
もっとも、神も仏も防げないほどの事態が起きたとも言えるのかもしれないけど。




