7754 「生誕190年記念 豊原国周」展(後期)

太田記念美術館で開催中の「生誕190年記念 豊原国周」へ。
先月前期の鑑賞をしているが、今回は後期を鑑賞。
今日は、最近にしては、なぜかお客さんも少なめだったので、比較的ゆっくりと鑑賞することができた。
前期展と後期展では、すべての作品が差し替わったこともあって、同じテーマではあるが、あらためて新鮮な感じ。
気になった作品をざっと上げていく。
《隅田川夜渉シ之図》(1855年(安政2年)6月)
白魚を採る美人画とのこと。こんな感じで漁をしていたとは思えないが、意外と手軽に採れたのだろうか? 満月の夜、遠くに筑波山が見える。いいなと思ったのは、川面に映る満月。意外と写実的なところがある。
《日本橋美人の夕景》(1863年(文久3年)5月)
3人並ぶ美人画ではあるが、背景がシルエットになっていてすべて黒っぽい色になっている。”夕景”となっているが夜更けだろう。背景とのコントラストで手前の女性が浮かび上がってるように見せてるのがおもしろい。
《真盛江戸の花役 沢村田之助》(1864年(元治元年)12月)
町火消のなかでも、纏(まとい)持ちは、江戸っ子の憧れだったそう。この作品は、当時の花形役者を纏持ちに見立てた揃物を制作していたそう。あまりいい例えはできないけど、ちょっと前なら、キムタクにパイロット役をやらせてるようなものか。
《伊勢参宮大井川之図》(1867年(慶応3年)9月)
1867年(慶応3年)日本各地で伊勢神営などのお札が降るという噂が立ち、囃子言葉の「ええじゃないか」を唱え、歌って踊る狂乱の騒きが起きるようすを描いたものらしい。「ええじゃないか」なんて、歴史の教科書で読んで以来かもしれない。
《かべのむたかきいろいろ》(1867年(慶応3年)1月)
落書き風に描いているのは、自分はよくわからなかったが歌川国芳風の武者絵。あくまで”落書き”なので、型にはまらず、自然な感じで描かれているのはおもしろい。絵だけではなく文字もいろいろ書かれている。相合い傘みたいなのもある。
《代鼓腹めぐ美の一颯》(1868年(明治元年)12月)
真ん中に立つ人物は、国周本人だそう。素人芝居の一団を組織し、その腕前は専門家も認めるほどの腕前だったらしい。どことなく漫画家が自分自身を登場させるところに似ている気がした。
《五個俳優対達引》(1872年(明治5年)9月)
背後に蒸気機関車が走り、当時の新橋駅舎も見える。日本初の鉄道が開通した当時の話題に当て込んで描かれたという。あくまで画題は役者絵でありつつ世間の話題を取り込んでいる。”本業”から外れないという矜持みたいなものか?前期展で「最後まで徹底して役者絵として表現することにこだわった」との紹介もあって合点がいく。
《春遊四季の詠》(1888年(明治21年))
桜が満開のなか三人の役者が墨堤に佇むその背景には、やはり、こちらも同じく、前年に架け替えられた網鉄製の真新しい吾妻橋が描かれている。やっぱり役者絵であることを忘れない構図となっている。
《品海之釣魚》(1896年(明治29年9月7日印刷・同月10日発行)
大の釣り好きの九代目市川団十郎が品川の海で釣りをしている様子を描いているが、ここで注目なのは、怪しげな仮面…これは、紙製の日焼け止めだそうで、日焼けに気をつかっていた様子がうかがえるという。国周はあえてこれを描きたかったのだろう。
《見立昼夜廿四時之内 午后一時》(1890年(明治23年)9月印刷・10月出版)
太陽暦が採用され、”24時間”を題材にしたシリーズ物。辞書をめくりながら英語の勉強をしているところが描かれている。取り上げているモチーフがとても多彩なのが興味深い。