7596 展覧会「広重ブルー」

雨のなか、太田記念美術館で開催中の展覧会「広重ブルー」を鑑賞してきた。
以前、歌川広重による連作浮世絵名所絵「名所江戸百景」が当時描かれたのと同じ場所から眺めてみる企画をやっていた。
残念ながら、長らく”お休み”状態ではあるものの、名所江戸百景や制作した安藤広重は、自分にとって、もっとも興味深く関心が高い。
そんな彼の作品で特徴的なのは、美しい”ベロ藍”だ。
プルシアンブルー、ベルリンブルーとも言われるベロ藍は、ドイツ・ベルリンの染料業者が偶然に発見した化学的な合成顔料で、のちに日本でも使われるようになった。
葛飾北斎の富嶽三十六景でも使われていて、あの印象的な色も”ベロ藍”だ。
広重がベロ藍に出会う前の作品も紹介されていた。
ここで青として使われていたのは藍だそうだが、グラデーション(ぼかし)は不向きだそうで、かなり平板で同じ広重の作品とは思えないくらい。
パネルでの紹介だったが、《あらし山満花》 という作品で、ベロ藍のグラデーションをいかしつつ、川の中央部分をあえて摺り残すことで、春の陽光や川の流れが表されていたのに、後摺では濃淡が乏しく平板な印象になっていた。
浮世絵は絵師と摺師の共同作業による作品であることがよくわかる。