4381 旧行川アイランドをふたたび歩く
今から一年ちょっと前に探索した行川アイランドに、ふたたび行ってみた。
閉園して十数年経ち、ほとんど人の手も入らないような状態だったから、変化もないと思われたが、最初から意外な展開があった。
入口付近にあった建物が倒壊したり消えていたのだ。

電話ボックスか守衛小屋のような建物が倒壊し、入場ゲートだった建物が撤去されていた。
このまま朽ちるに任せるのかと思っていたから、建物の撤去は意外だった。
こうして建物がなくなってしまった状態から、元の様子を想像するのは極めて難しいことが分かる。


行川アイランドへの入り方も以前と変わらず。
大量のゴミが出迎えてくれるのも変わらず…。



大きく変わっていたのは、入口付近だけで、それ以外は1年前とほぼ同じだった。
二手に分かれた道路…前回は園内の上のほうを進んだので、今回は下のほうに進む。
海が近づいてきた。
が、コンクリートの基礎を残して建物が撤去され手いて、これ以上近づけない状態になっていた。
ここはいったい何があったのだろう?


そういえば…一年前と比べると、季節が1ヶ月ほど遅いせいか、園内のあちこちに花が咲いているという違いがあった。
いずれも当時から咲いていたのだろうか?

カサカサと音がする。鳥か何か?と思ったら、鹿のようだった。それも、やたらと小さい。
キョンだ。かつて、行川アイランドで飼育されていたが逃げだし、野生化したのだ。
警戒心が強く、ほんのちょっと近づいただけで逃げ出してしまう。


妙な形をした鉄の板が落ちていたので、最初、これが何だったのか分からなかった。
座面や背面の木が朽ち、支える鉄の部分だけが残ったベンチだった。
寒々しいこの様子からは想像できないが、ここにも歓声が響いていたはずだ。

あまりに朽ち果てた園内を歩いていると、ところどころに咲いている花がとても愛おしく思えてくる。

坂を上がり、ふたたびトンネルをくぐると広場に出た。ここは前回訪れた、入場ゲートのトンネルを抜けたところにある広場だ。

看板などはほとんど取り払われているなか、昭和天皇の植樹を記した碑を発見。 ステンレスと思われる金属製のためか、錆びずにしっかり残っている。
その隣にも白い碑らしきものがあった。こちらは木製のためか朽ちてて、表面が剥げて文字が読めない。

この白い碑のような木にも必ず何か手がかりがあるはず…

かなりわかりにくかったが、皇太子による植樹だったようだ。
植えたのは、もちろん、今の天皇陛下。
昭和44年とあった。

そろそろ帰ろう。
以前来たことがあって、ある程度の距離感は掴めてるものの、トンネルを何本もくぐってくると、不安を覚えてしまう。

人の手によって切り開かれた場所が、どんどん自然に還っていく…そんな気がした。

ようやく外に出られたときは、心底ホッとする気がするのだ。