局アナ 安住紳一郎/安住紳一郎
局アナ 安住紳一郎 安住 紳一郎 小学館 2006-03 |
以前「さんまのからくりTV」をよく見て、彼の存在を知ったように思う。そのころからTBSアナウンサーのなかでは、ひときわ独特な空気の人だという印象を持っていた。
先日から、ふとしたことから、日曜日の午前中に聞き始めたラジオが、彼がパーソナリティを務める番組で、局アナらしからぬ物言いで関心を持った。そんな彼の書いた本があるというので、図書館で借りてみた。テレビ番組雑誌の連載を再編集したものらしい。
社会や自分の勤めるテレビ局に対しても、どこか斜に構えて見ているような、全く飾ることないユーモアあふれる性格は、この本の中でもそのままだった。
本書の中でちょっと気になった一節を引用したい。
高校の卒業式の翌日、数少ない東京行きの飛行機に大勢の18歳たちでいっぱいだった飛行機の中でのアナウンス。
当機は予定より5分遅れて帯広空港を離陸し、現在は福島県沖を順調に航行中です。本日当機は、たくさんの若いお客様にご搭乗いただいております。ふるさとの大地を上空から見つめた気持ちをねいつまでも忘れないでください。地上からの報告によれば、目的地東京・羽田の気温は15度、天候は快晴。みなさまの未来も快晴であることを期待しています。
今でも彼に勇気を与えてくれているというこのアナウンス。アナウンサーという職業を志したきっかけになったかもしれないという。
これほど立派なアナウンスではないが、以前東武東上線を利用して会社に行っていた時に同じような印象的なアナウンスを聞いたことがある。それは、朝の通勤ラッシュで最も混雑している時間帯。まもなく終点の池袋駅に到着しようかというところだった。
「まもなく池袋です。大変長らくのご乗車おつかれさまでした。みなさま、今日も一日、どうぞお気をつけて行ってらっしゃいませ。」
ちょっとした言葉にあたたみを感じることがある。本書とちょっと話がずれてしまった。