研究所をはしごする


世界最大級の400m水槽の端から

 

科学技術週間」というキャンペーン企画?があったらしく、各地でそれにちなんだイベントがいろいろあったようだ。先日新聞で見つけた「JAXA 航空宇宙技術研究センター」の一般公開はその一環らしい。
場所は三鷹駅からバスで十数分のところ。まずは三鷹市役所前のバス停へ向かう。

市役所のバス停からぶらぶら歩いていくと、「一般公開」の幟(のぼり)が立っていたので、早速入ってみる。でも、宇宙とは関係のない展示が並んでいるではないか。

宇宙なのになんでエアバッグ?

どうもおかしいな…と思ってもらったパンフレットを見てみると、「交通安全環境研究所」とあるではないか! そう、隣の研究所の一般公開に入ってしまったのだ。

パンフレットによると、同じ敷地内に「海上技術安全研究所」と「電子航法研究所」の計3つの研究所があって、それぞれ一般公開していた。

陸、海、空、宇宙とあらゆる全ての空間に渡る研究施設が並んでいるのは、なんとも興味深い。

 

交通安全環境研究所

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◇第一審査棟

 最初に入った建物が、ここ。エアバッグがどのように衝撃を吸収するかを説明。バイクにもエアバッグがあるなんてびっくり。でも、シートベルトをしているわけじゃないし、投げ出されちゃったら、あんまり意味がないような。掲げられていたポスターにダミーの独り言が…

 

◇鉄道構造物実験棟 自動車、バイクのエアバッグの施設の隣は、鉄道台車の実験棟。
同じ研究所の隣の建物で、こんなに全然違う実験をしているのは、なんだか不思議。いろいろ話を聞いてみたかったが、時間がなかったので、次へ。

 

◇音響実験棟

 車やバイクからの騒音をどのようにして減らすかを研究するための施設。詳しく話を聞くと、自動車の場合、エンジンのより、タイヤが地面を蹴る音が大きな割合を占めるのだそうだ。そのために、タイヤ自体にさまざまな加工をする研究を続けているらしい。

 

◇低視程実験棟

実験室いっぱいに人工の霧を立ちこめさせ、信号や標識の見え方を研究する。実験室に入ると、テールライト、信号、標識とちゃんと見えた(写真左)が、霧が濃くなってくると青の信号以外全然見えなくなってしまった(写真右)。ちなみに右の写真にダミーが見えないのは、そもそも写っていないから。

 

◇衝突安全実験棟 ここでもダミーが…さまざまなダミーのサンプルが並んでいた。価格はなんと600万円!最近の傾向として、調査、分析の内容が細かくなっていて、それに応じてダミーの種類も増えているらしい。当然価格も上がっているとのこと。ダミー一体で複数の実験ができず、実験ごとにダミーの種類を変えないといけないのだから、仕方がないのだろうけれど。
ちなみに、うちのダミーは1,000円。 安心しろ、別に実験に使わないから(笑)→うちのダミー

 

電子航法研究所

 

◇電波無響室 飛行機にとって電波は「命綱」とも言えるのではないだろうか。そんな飛行機と電波との状態を、外界からの電波を一切シャットアウトして調べるための部屋。
外の世界の電波が入らないようにするのはもちろん、実験室内で発生した電波も、無駄に反射しないよう、壁にはウレタン製の特殊な加工がされてある。そのサンプルを触らせてもらった。まぁ、想像通りの感触。

 

◇航空機監視システム ここでは航空機の管制室とまったく同じ機能を提供する場所で、シミュレーションや訓練等にも使われている。当然使われている機材は実際のと同じもの。
小さな子供たちに制御ボタンを連打されていたけれど、問題ないのかちょっと心配になった。

 

海上技術安全研究所

 

◇400m水槽 世界最大級の水槽で、長さ400m、幅18m、深さ8mもある。水の量は55,000トン、25mプールの水が120杯も入るという。
そこに模型の船を載せ、船の形状と必要なエンジンの出力(馬力)を算出するための実験で使われるとのこと。
今回の一般公開では、この模型の船を牽引する台車…というか、電気で自走するので電車かな…に、、200mほど乗せてもらう。トンネルのような中を、結構なスピードで移動する雰囲気は、ちょっと変な感じ。

 

◇電子顕微鏡 海上技術安全で、なぜ電子顕微鏡か不思議に思えたのだが、船のスクリューや動力を伝えるシャフトが金属疲労等によって破断した際、その断面を見るときに使うのだという。
今回の企画では断面だけ見てもあまり面白いものではないということで、研究所の前を歩いていたアリがサンプルというか、モデルとして電子顕微鏡に映っている。このような電子顕微鏡を自分で自由に操作できるのはちょっと楽しかった。(アリさんには気の毒だけれど)

 

◇深海水槽、高圧タンク

 直径14m、地下35mもの水槽は、世界でもっとも深いらしい。おなじみギネスブックにも載っているということで、その証明書が掲げられていた。

この水槽では回りを取り囲むようにして並ぶ128枚の板が並び、さまざまな波を発生させることができるようになっている。しかも、これがよくできていて、発生した波が反対側の板に当たって反射しないように板の動きを調整しているとのこと。すごいね。

この隣の高圧タンクでは、深海での高圧状態を再現することができる。圧力によって縮んでしまったカップラーメンの容器をお土産としてもらう。なんだか嬉しい。

 

◇氷海船舶試験水槽 氷がった水面を船が進む際のさまざまな影響を実験する施設。
実験室の様子は一般公開時間中はいつでも見られるものの、実験そのものの様子を見るためには、事前に整理券をもらっておかないといけない。たまたま最後の一枚だけ午後2時からの回が残っていたので、すぐに実験を見ることができた。
厚さ3~4cmくらいの氷を割りながら進んでいく様は、模型の大きさと相まって、とてもリアル…当然なんだけれど。氷の割れ方をチェックするのも大事な実験のひとつなので、水槽を上からだけではなく、横からも真下からも見られるようになっている。

 

宇宙航空研究開発機構(JAXA)

 

今日やって来た本当の目的はこちらの施設だったのだが、先に訪れた3つの研究所に時間を取られてしまい、こちらはじっくりと見学することができなかった。ということで、ここでの紹介は、今回初めて一般に公開された展示だけってことで。それ以外の写真は小ネタもあるにはあるのだけれど、あまりに駆け足で回ってしまったために、実のところあまり印象がないので…

◇小型超音速実験機 去年(2005年)10月10日にオーストラリアで行った実験で実際に飛んだ機材が展示されていた。一般へは初公開だそうだ。自由に触れるようになっていたので、ダミーを置いて記念撮影。
コンコルドがなくなって以来、超音速旅客機なんてもう作られないものと思っていたが、まだまだ研究は進められているようだ。僕が生きている間に実現して、実際に乗ることができるのだろうか?

 

◇月面探査車

最後の僕が生まれたころには、アメリカは着陸船を月まで到達させ、人間が月面を歩かせることができているのに、日本ではそこまでの技術を持ち合わせていないのか、資金力がないのか、月に近づくことすらできていなかった。

これまで月までの道のりはとても遠く感じていたが、今回初めて一般に公開された実験中の月面探査車を目の当たりにすると、日本の技術による月着陸が、実現に向けて少しずつでも進んでいると感じることができた。

 

おまけ

 

 今回の一般公開に行くために、三鷹市役所前のバス停に行く必要があった。市役所と言えば街の中心部にあるものかなと思ったら、賑やかな繁華街を抜けて、バスで十数分ほど離れたところだった。

しばらく歩いていくと市役所のすぐ裏に、リサイクル施設だの、清掃車だのがやけに集結していた。まぁそれはそれでいいのだけれど、写真のような「有害ボックス」なる箱が大量に置かれてるのには、ちょっとギョッとした。
で、これらをよく見てみると、全部、調布市の所有物らしい。三鷹市役所のすぐ裏が調布市だったのだ。調布市からすれば街のはずれにあたるのだからいいのだろうけど、三鷹市にしてみたらちょっと迷惑だろうね。

 


2006.4.23

Posted by ろん