交通博物館ひとめぐり

 ひさしぶりに交通博物館を訪れた。ここは秋葉原に近い。

秋葉原に会社や自宅から来ようとすると、秋葉原駅ではなくて、丸の内線の淡路町駅を利用する関係で、その通り道である交通博物館の前を通る機会は結構多かったけど、かなかな入るチャンスはなかった。
今日も入るつもりはなかったのだが、目的の店が定休日でちょっと時間ができたために行くことができた。施設の内容や詳細は、交通博物館や他の方々のWebサイトをご覧いただくとして、ここでは、交通博物館を、軽くひとめぐりしてみたい。

 


 

入口

最後に行ったのは、もう少なくとも10年以上前になると思う。外見は少しも変わってない。D51と新幹線0系の飾られた入口、自動券売機で入館券を買うのも同じ。JR東日本が所有する施設なのだから、suicaでも入れるようにしてくれたら、おもしろいのに・・・なんて思った。実際は入館券を買ったら、受付の箱に入れるだけという、簡単な方法を取っている。
入館券は自動券売機で。
違和感なし。

 


 

模型鉄道運転場

順路では一番最初ではないのだけれど、入館すると最初に目につくのが、この「模型鉄道運転場」。交通博物館で人気の高い展示のひとつだけれど、最近は、シミュレータにその座を奪われてしまっているようだ。それでも、シミュレーションができないような子供たちには、絶大な人気で、運転時間中は、平日でもともと少ない入場者のほとんどが、この「模型鉄道運転場」に集結しているといった感がある。
10数年前見た記憶と比べると、はるかに小さい気がした。当然大きさは変わってないのだから、錯覚に違いないのだけど、こんなところで自分も歳を取ったなぁと実感してしまった。

 


 

館内

入口の感じよりも、ずいぶん天井が高く広い気がする。鉄道に関する企画展は定期的に更新されていて、中吊りや駅のポスターなどで、活動の様子をうかがうことができる。現在はJR東日本の新幹線にまつわる企画展をやっていた。常設展示も、鉄道に関するあらゆる情報を展示や模型を使って、わかりやすく学べるように工夫されている。


蒸気機関車と初期の頃のヘリコプター、日本の空を最初に飛んだ飛行機。一番広さを感じる場所。
1872年10月、新橋~横浜間に開業した日本で初めての鉄道で使用された最初の蒸気機関車。

 


 

シミュレーション


 模型運転時間以外で、一番多くの人を集めていたのが、シミュレータ。シミュレータは3台あるけれど、どれも長蛇の列。
さすが交通博物館が用意するシミュレータだけあって、使われているマスコンハンドルやメータといった運転台は本物で、ゲームセンターにある、「電車でGO!」と比べると、はるかにリアリティがある。逆にゲーム性はないけれど。
中には、いわゆるマニアとかオタクの青年も混じっていて、運転用のマイ手袋と手作りの運転ダイヤ表を持って、運転に励む姿も見られた。入口の入館券に「回数券」もある理由がやっとわかった。

 


 

これだって、シミュレーション


10数年前からあったシミュレータといえば、この展示。運転台、パンタグラフ、制御装置、台車が並んでいて、かなり無骨な感じだけれど、本物が動くという実感は、シミュレータは絶対にかなわない。
 もちろん、当時は、これだけで充分電車を運転している気分になれた。目の前の風景は変わらないけど、ハンドルを操作し、速度を調整できるだけで、今のシミュレーションとなんら変わらない経験ができた。

 


パンタグラフが
下がった状態

パンタグラフが
上った状態

操作する台車
(車輪が実際に回転する)

マスコンハンドル
(中央のボタンでパンタグラフを操作)
 シミュレータと違って、本当に電車を運転するのと同じように、パンタグラフを上げて架線から電気を取るところからはじめる。
ハンドルを定位置に合わせ、赤いボタンを押して、下がっているパンタグラフを上げる。右のブレーキハンドルを左にゆるめて、ノッチハンドルを右に回し加速させる。だいたい60km/hくらいまでスピードが出る。いつまででも走らせることはできるが、適当なところでノッチハンドルを緩め、ブレーキハンドルを右に回し、ゆっくりと急にならない程度に車輪を止める。そして、パンタグラフを下げれば、一通りのシミュレーションはおしまいとなる。

 


 

鉄道以外の展示

交通博物館というだけあって、鉄道以外の展示もあるにはあるが、お世辞にも充実しているとは言えない。まるで、このコーナーだけ世の中の時間の流れから、取り残されてしまったかのような感じで、全くと言っていいほど、最新の情報が欠落しているのだ。鉄道のコーナーが充実している分、その落差を感じずにはいられない。

【3階】 航空
展示の多くは歴史を辿りながらの模型で、体感できるような設備は皆無と言っていい。【3階】 人力の交通
航空関連の展示とリニアモーターカーの展示と並んで、なぜか、駕籠とか人力車の展示がある。これらも立派な交通手段なのだ。

【2階】 船舶
航空のコーナー同様、展示の多くは歴史を辿りながらの模型。旧国鉄が青函連絡船を運行していた関係で、関連する模型は多少充実いている。【2階】 自動車
比較的実物が多く展示されているが、変化の著しい自動車の世界なのに、展示内容の更新がほとんど行われていないような感じがした。

 


 

もっと頑張って欲しいから。

交通博物館の歴史は古く、1921年(大正10年)に鉄道博物館として開館。1936年(昭和11年)に、今の場所に移転し、戦後、交通博物館と改称、国鉄の分割民営化によって、東日本旅客鉄道の所有となった。そんな経緯から、どうしても展示は鉄道、特にJR東日本関係に重きを置きがちになってしまう。ならば、いっそのこと、「JR東日本鉄道博物館」とでもした方がすっきりする。しかしながら、JR東日本だけで鉄道を語ることは当然できないし、その他のJR各社をはじめ、多くの私鉄も含めて、今日の鉄道があるわけで、もっと広い視野で、各社で協力をして史料の収集や展示の充実を図って欲しいと思った。
また、せっかく鉄道にとどまらず、交通に関連する史料が集まってるのだから、なんとかそれぞれを有機的に結びつけられないものか?と思った。
最新の制服を着ても、なぜか、古めかしい

21世紀を描いたと言わんばかりの未来予想図

 


取材 2002.10.16
作成 2002.10.20

Posted by ろん