北の森に舞うモモンガ: 「移」「食」「住」を守る/柳川 久

■いきもの,龍的図書館

駆け出しの研究者だった著者がモモンガの研究がやりたいという学生の指導教官を担当したことがきっかけで、三十年以上も研究を続けることになったという。

「移」「食」「住」の切り口から生態を紹介し、さらに彼らを取り巻く環境や歴史など、モモンガについて、とてもわかりやすく解説してくれている。

ほとんど研究例がなかったモモンガを調べるため、学生と24時間体勢で1年かけて活動を調べるなど、試行錯誤の研究が紹介されている。

本文では、ひとつの巣穴にたくさんのモモンガが集まったり、1匹のモモンガの上にさらにモモンガが乗ってさらにその上にも1匹のモモンガが乗るなど、モモンガ独特な行動を捉えた写真も載っていて、見ていて楽しい。

あるとき、モモンガが生息している大学の敷地にある森が、高規格幹線道路が建設により伐採されることになった。

その森はモモンガが生息し、付近の森を行き来していたため、何らかの語が必要と訴えた結果、モモンガが道路を横断できるような「滑空用支柱」、道路下の通路に「移動用足場」が作られ、実際に利用されているようだ。

印象に残ったのは、モモンガの存在が多くの市民に知られることの是非について述べられているところ(p.104)だった。

マイナスにもプラスにも働く場合があるということだ。

マイナス面としては、撮影などの目的でモモンガへ餌付けが行われることで、イエネコやキタキツネなどの捕食者に襲われやすくなってしまうようだ。

また追い回すことでのストレスも懸念される。

一方、プラスの意味として、知られることによってモモンガが活動しやすいように配慮した樹木の伐採が行われるケースがあるようだ。

このあたりは、モモンガに限らず、さまざまな動物でも起こり得ることだ。

本書を通じて、モモンガをより身近に感じられた気がした。

Posted by ろん