おしゃべりな絶滅動物たち/川端 裕人
- おしゃべりな絶滅動物たち──会えそうで会えなかった生きものと語る未来
- 川端 裕人
- 岩波書店 2025/1/23
ちょうど1年前、アクアマリンふくしまを見学したとき、そこで紹介されていた、ニホンカワウソの最後の個体とされる写真は、いまでも強く印象に残っている。
自分が最後の”ニホンカワウソ”だとは気づいていないだろうが、同じ仲間がまったくいないという異常事態であることはわかっていただろうと思うと、なんだかとても切なくなる。
本書でも紹介されているがそうした個体のことを”エンドリング”と呼ぶそうだ(p.116)
以前から、なんとなく絶滅した動物について気にはなっていたが、あらためて検索してみると、現在、地球上では「1日に100種以上が絶滅している」と言われ、そのスピードはますます加速しているという。
その要因には自然環境の変化もあるが、決して無関係ではないのが人間の存在である。
本書は、私たち人間が“発見”したのちに絶滅へと追いやってしまった動物たち──ステラーカイギュウ、ドードー、オオウミガラス、リョコウバト、フクロオオカミ(タスマニアタイガー)、ヨウスコウカワイルカ(バイジー)
これらの実例をたどり、関係している現地まで足を運び、その過程を丹念に描いている。
ときに読むのがつらくなるほど痛ましいが、それは紛れもない事実である。
なかでも数億羽いたとされるリョコウバトが、たった20〜30年で絶滅してしまった事実は象徴的だ。
当時は「絶滅」という概念そのものが曖昧で、「どこか別の場所で生きているだろう」と考えられていたという。
そのため、個体数が減っても本格的な保護策が講じられることは少なく、まずは標本として自然史博物館に保存する、あるいは動物園で飼育するといった対応が主だった。
生態学者アルド・レオポルドの言葉は、絶滅というできごとが未来の私たちにとっても警鐘として鳴り響き続けるという意味で、特に心に残った。
「彼らはまったく生きていないことによって、永遠を生きている」(p.90)
現代では、「脱絶滅」という新たなアプローチが注目されている。
これは、最先端のゲノム編集技術や生殖補助技術を用いて絶滅種を“復活”させようとする試みだ。
たとえば、戻し交配、クローン作製、近縁種のDNAをゲノム編集する代理種という主に3つの手法があるそうだ。
しかしそれは、映画『ジュラシック・パーク』のような壮大な復活劇とは異なり、元の種そのものを再現するものではないという。
その現実には、ある種の衝撃すら覚える。
iPS細胞を用いた復元研究も進められているが、たとえ1個体を生み出せても、そこから遺伝的多様性を持った種として再生するには、まだ遠い道のりがある。
技術が今後さらに進化すれば、何かが変わる可能性はある。
それでもなお、本書を通して強く感じるのは、「絶滅」とは本質的に取り返しのつかないできごとであり、その重みを人間はもっと真摯に受け止めるべきだということだ。
