7917 時間が止まった朝、鶴見線にて
今週はお盆の時期ということもあり、朝も夜も列車がいつもより空いている。
せっかくなので、今日は少しだけ寄り道をしてから出社することにした。
まず降り立ったのは鶴見駅。
ここから鶴見線に乗り換える。
本来ならこのまま目的地に直行するつもりだったが、ふと時間を見れば少しだけ余裕がある。
ならば、久しぶりにあの駅へ立ち寄ってみよう。
海芝浦駅行きに乗る。
途中、僅かな期間営業しただけで廃止になった、本山駅の跡を見ながら、隣駅の国道駅へ。
この駅は、まるで時間が止まったかのような場所として有名だ。
以前訪れたのはずいぶん前だが、ホームに降り立った瞬間、その佇まいがほとんど変わっていないことに驚く。
壁に残る機銃掃射の跡を見れば、なおさら「時が止まっている」という感覚が強まる。
できれば、このままの状態でずっと残っていてほしいと思ってしまう。
再び鶴見線に乗り込んだ。
次に向かったのは大川行きの列車。
乗客は多くはないが、ガラガラというほどでもない。
10分ほどで終点の大川駅に到着し、降りる乗客は意外にも多かった。
鶴見線の本線からくねくねとポイント通って、終点の大川駅へ。

1日に数本しか来ない無人駅。
駅事務室があったと思われる場所に、サビだらけのエアコンの室外機を見ると、かつてはここで駅員が切符を切り、いまよりも多くの改札を通る人々の流れがあったのだろうと思うと、何か不思議な感慨がある。
大川駅からそれぞれ勤務する工場に向かう人達は、思ったより多かった。
列車は数分ほど停車したあと、すぐに折り返し発車してしまった。
駅から少し歩くと、目的の光景が視界に現れた。
そこにあったのは、沈没しかけた海賊船――。
聞いただけでは信じられないが、確かに目の前にその異様な姿がある。
そして、その手前の鶴見線の線路脇にも、またしても機銃掃射の跡が残っていた。

どうやらこの船は、5年ほど前まで横浜で使われていたものらしい。
少し前までは浮かんでいたようだが、今では大きく傾き、わずかな波でも転覆しそうなほどだ。
この奇妙で不思議な光景に満足し、そろそろ出社することにした。
大川駅から乗ってもよかったが、次の列車まで時間があったので”隣の駅”まで歩く。
歩いて数分ほどのところに、鶴見線の武蔵白石駅がある。
大川行きの列車は止まらないが、実質的には”隣の駅”だ。
機銃掃射の跡と沈没しかけた海賊船――そんな非日常を感じてから出社は、ちょっと特別な朝になった。

















