1652 草津温泉

定点観察

 初めて草津温泉に来た。

 「草津よいとこ一度はおいで」といわれるくらい、温泉としての知名度は抜群。機会があれば来たいと思っていたが、東京からは物理的な距離はそんなに遠くないものの、最寄り駅まで比較的時間が掛かる上に、さらにその最寄り駅からも遠いこともあって縁遠かった温泉地だ。
 さすがに古くからの温泉地として賑わってきただけあって、付近の見どころは多かったし、いわゆる?偽装温泉疑惑で日本中の温泉地が大騒ぎしたときには、それを逆手にとって「泉質主義」を掲げ、むしろその質の良さ、ブランドをアピールしていたくらいで、確かにとても良い温泉だった。

 ただ今回泊まった旅館があまりにその内容がひどかったのがとても残念だった。
 壁が多少破れているのは仕方がないが、壁が薄くとなりの部屋の話し声やテレビの音がそのまま聞こえてきてしまう。全体的にあまり清潔感がなく、特に露天風呂がそんな感じだった、濡れやすい床なのにも関わらず、床が掃除がしにくそうなカーペット敷きにしているため、全体的に黒ずんでしまっている。
 夕食も全く工夫が見られない。お茶を入れようと急須のふたを開けると、急須の中は濡れたまで、直前に誰かが使ったような感じで茶葉がいくつも残っているし…

 ここで言いたいのはこの旅館がダメと言うことではなくて、草津温泉全体の問題としてとらえて欲しいということだ。草津温泉がとてもいい温泉地であることは間違いない。けれど、こうした旅館で過ごしてしまうと、どうしても、残念ながらあまりよい印象を持つことができなくなってしまう。
 このような旅館は「草津温泉」という場所でなければ決してやっていけないはずだ。ブランドにおんぶにだっこなのだ。共に盛り立てていかなければならないはずなのに、”乱暴な言い方”をさせてらもうとするならば「寄生」しているのだ。温泉の質の次は、温泉地全体でこうした旅館をどう見直していけるかが鍵になるような気がする。旅館個々の問題として検討される話だろうから、難しいとは思うけど。

Posted by ろん