1476 新橋の橋脚を見る

定点観察

 新しい電車が出てきたり、駅が新しくなると、そちらばかりが目がいきがち。新しいものは、当然きれいだし、使いやすくなって、いろいろな配慮がされるようになっている。
 その一方で古いものは、新しいものとのコントラストによって、古さばかりが目について、なかなかその良さみたいなものが見えにくくなることがある。

 以前から、ちょっと注目したのが新橋駅付近の山手線の橋脚。このあたりは煉瓦造りの高架橋が続いていて、道路と交差する部分は鉄橋になっている。その鉄橋の橋脚をよく見ると細かな装飾がされている。

 この装飾は実際の電車の運行になんの役目を果たすものではなく、意味があるとすれば、その橋の下から見上げたときにだけだろう。時代が流れいまでは、ほとんど目にとまることはないだろうが、こういうところにも配慮するところが、かつての土木建築のよさだったような気がする。この区間が開通したのは明治43年(1910年)のことだから、もう100年近くも前のこと。


一番凝っている内側の橋脚

だいぶ簡素化した外側の橋脚

東海道線の橋脚

 その後時代を経て作られていった同じ区間の橋脚を見れば、最初に作ったときの意気込みみたいなものを感じずにはいられない。山手線の内側から外側に向かって、橋脚は新しくなっていくのだ(上記の写真では左から順に新しくなっている)が、一番外側の東海道新幹線の橋脚では、完全に機能重視といった感がある(左写真)。
 もちろん時代の要請や橋脚に求められる機能も変わっているのだから、一概にどちらがいいとか悪いとは言えないけど、ちょっとした「余裕」みたいなものが、新しくなればなるほど失われているような気はする。

Posted by ろん