5330 3月11日の旧石巻市立大川小学校

以前から、震災後の報道や裁判などのニュースを通じて気になっていたのが、石巻市立大川小学校だった。

原告も被告も同じ被害者という状況で、裁判になってしまうというのは、いったいどういうことなのか?

行ってみないとわからない気がしていたのだ。

3月11日の同じ時間にその場に立ってみて感じることがあるか確かめたかった。

北上川に沿って…石巻市立大川小学校のある大川地区は、仙台から車で1時間ほど。石巻市街からもちょっと離れている。

車で北上川沿いを走ってきたが、川がまるで湖のような広さだった。

7年前の今日も、地震発生までは、こんな感じで穏やかだったのだろう。

大川小学校にやってきた。

周辺には建物はほとんどなく、小学校の建物の前にはたくさんの車が止まっていた。

周囲に何もないのは… 大勢の取材陣

もう止める場所がなかったから、少し離れたところに車を置き、ちょっと歩いて小学校に向かう。

合同慰霊式が行われるため、たくさんの人たちと、各派の僧侶が集まってきていた。

合同慰霊式に向かう僧侶たち 破壊された渡り廊下

被災当時のまま残されている

残された校舎で、合同慰霊式が行われるため、沢山の人達が集まってきた。

遺族会会長の方のお話のあと、14時46分から1分間の黙祷。その間、サイレンが鳴り響く。

関係者が集まる 14時46分に黙祷

現地の人にも話を聞くことができた。

共通していたのが、地元の人たちは、子供たちが裏山に当然避難しているはずだと思っていた…ということだった。

被害の様子を伝える案内板 わずかに残る学校施設 バックネット跡 小学校正門

それは、裏山が昔からあの周辺の子供たちにとっては遊び場であり、登ることなどわけないと知っていたからだ。

しかし、現実は多くの子供たちは、避難の途中で津波に流されてしまう。

だからこそ「なぜ?」という思いが消えないのだろう。

裏山実際に見てみたが、確かにあれくらいの傾斜なら、十分登れると思う。

もちろん、慌てて登れば滑ったり、切り株などで転んだりして怪我をするかもしれない。

それでも、登ることはできる。

しかし、それをしなかったのはなぜか?

それは、教員たちが、ここまで津波が来るとはまったく思っていなかったからに他ならない。

これもここに立つとよくわかる。

海までは4kmから5kmも離れている。周りは堤防と山に囲われているから、津波が来ても気付くのは、どうしたって遅れるのだ。

「津波が来るかもしれない」

ほんのちょっとでも思っていたら、結果はまったく変わっていた。

地震発生から40分から50分もあったのだ。

ゆっくり歩いても十分逃げられる時間がある。

それをしなかったのは、津波のことをまったく意識していなかった何よりの証拠のような気がする。

北上川と並行する富士川でも、もうちょっと考えれば、それは間違った考えであったことも、すぐにわかる。

すぐ近くを流れる大きな川が北上川で、そのすぐ脇を富士川という別の川が流れている。

写真で見ても何となく分かるが、水位が違うのだ。小学校寄りを流れる富士川のほうが低い。

実はこのあたりは標高1m程度しかなく、高潮でも簡単に水位が上がってしまう状況をたびたび目の当たりしていたというから、想像はついたはずだ。

この付近を流れる北上川は、とにかく広い 新北上川大橋も津波で一部が流出した

話を聞いたなかで、とても印象的だったことがある。

会話のなかで、小学校に対し軽く批判的な感じの話をしていた地元の方に対して、すぐ近くにいた方が、こんなことを言ったのだ。

「あんたは原告のほうの人間か?」

裁判は、地元を二分してしまっていることがよくわかる瞬間だった。

車が駐車しているあたりも住宅地だったしかし、そうした雰囲気もある一方で、住民たちも、なぜそれにもっと早く気付き、その対応することができなかったのだろう…という思いも語ってくれた。

大川地区 まちなみ復元模型 展示仮施設」というプレハブの建物が、小学校前にあって覗いてみる。

集落や山林が再現され、その場所にまつわる思い出を記した小さなアクリル板が無数に立っていた。

ここを巨大な津波が襲ったと思うと、胸が詰まる思いがする。

まちなみ復元模型 展示仮施設 当時の様子が紹介されている

津波被害の痕跡…結論を出すために来たわけではないので、ここで何かを判断する必要はないが、この状況に立ち向かう人たちのさまざまな気持ちには、少し近づけた気がする。

それぞれにそれぞれの思いがあって、何が正解ということはないと思う。

ただ、今回の悲劇を繰り返さないようにするための努力は絶対に続けなければならないということは痛感した。

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