8156 4月1日の複雑な気分

今年も4月1日がやってきた。
年中行事、新入社員へのパソコンやスマートフォンなどのOA機器導入サポートの日だ。
例年、数十人の新入社員を相手にするこの業務は、トラブルが絶えないのが常である。
あらかじめ様々な事態を想定して準備を重ねるのだが、現場ではそれを上回る想定外が次々と巻き起こる。
特に今年は昨年の倍近い人数を受け入れるとあって、いったいどんなトラブルが待ち受けているのかと戦々恐々としていた。
しかし、蓋を開けてみれば、今年は例年になく大きな混乱もなく、極めてスムーズに全行程を終えることができた。
皮肉なもので、無事に終わったことは喜ばしいはずなのに、心のどこかである種の「つまらなさ」を感じている自分がいる。
というのも、例年ならトラブルが発生した際、新入社員同士が知恵を絞ってなんとかしようとする過程で、それぞれの個性が垣間見えるものだ。
「今年はこんな子がいたな」と記憶に刻まれるやり取りが、サポート業務の隠れた醍醐味でもあった。
それが今年は、あまりに滞りなく進んでしまったために、誰ひとりとして強い印象を残すことなく終わってしまったのだ。
大きな波風の立たない静かな船出は、対応する者としてはよいと思うけど、彼らの瑞々しい個性に触れる機会を逸してしまったような、少しだけ寂しい春の始まりとなった。