7909 停泊する夏の風物詩
毎年この季節に運航される東京湾納涼船は、夏の風物詩だった。
しかし、今年は違う。
港に停泊したまま、海へは出ない。”船上ビアガーデン”として、岸壁に留まっている。
理由は人手不足だという。
納涼船として運航されてきた、さるびあ丸は、竹芝桟橋から伊豆諸島へと航路を結ぶ大型客船だ。
伊豆大島、利島、新島、式根島、神津島を結んでいる。
昨年までは、納涼船として夜の東京湾を周遊したのち、23時になるとそのまま伊豆諸島へ向けて出航していた。
納涼船の運航と、定期便の準備。限られた時間の中でそれをこなすには、相応の人手が必要だった。
だが、昨今の人手不足、そして働き方改革によって、今年は周遊なしで停泊したまま営業することになったようだ。
そんな「停泊型納涼船」となったさるびあ丸のビアガーデン、「さるBEER(ビア)」に行ってきた。
今夜はここで部署の飲み会がある。
乗船までの雰囲気は、一昨年のミステリーツアーで利用したさるびあ丸と変わらない。
飲み物やおつまみは自分で買いに行くスタイル。
客層は比較的若く、浴衣姿のグループもちらほら。
一般的なプランでは座席は用意されておらず、甲板で立ち飲みするのが基本らしい。
けれども、こちらは病み上がり、出社再開初日ということもあってかなり疲れてしまっていた。
せっかく来たのに本当に残念だったが、今日は乾杯だけして早めに引き上げることにした。
係員の方に下船の旨を伝えると、鍵のかかった出口まで案内され、鍵を開けてもらって静かに岸へと戻る。
ふと後ろを振り返ると、さるびあ丸は、このあとの出航に備えて、慌ただしくコンテナの積み込み作業が行われていた。







