世界で一番おもしろい 構造デザイン/日建設計 構造設計グループ
- 世界で一番おもしろい 構造デザイン
- 日建設計 構造設計グループ
- エクスナレッジ (2024/12/3)
ちょっと変わった建築を見ていると、これは一体どんなふうに作られたんだろう?と思うことは、よくある。
ただデザインだけが優先するだけでは、けっして建物はできない。
できあがった建物は、その状態を維持するための”必然の形”をしているはず。
いま目の前にある状態になるまで、相当な紆余曲折があったんだろうなぁ…なんて思ったりなんかする。
本書は、全国の建造物を取り上げ、それぞれの構造デザインを詳細に解説していく。
例えば、最初の例に取り上げられている「球体を浮かせる」という命題に対して、どのような解を導き出すか?
実際に初めて見たときにビックリした、空中に浮かぶギャラリーが特徴のホキ美術館の構造などについても詳しく紹介。
なかには、未完の新国立競技場の紹介もあって、こちらは実際に見てみたかった。
取り上げられた建物のなかで、もっとも意外だったのが、2004年竣工の汐留住友ビル(p.88)について。
もうずいぶん前のことだが、こちらのビルのなかを初めて見たとき、超高層ビルなのに大空間が広がってるなぁ…という印象を持っていた。
本書での紹介では、その印象通り、実際に、この空間を作るための工夫があった。
中間層に免震層、免震層より下部は制振性能を発揮することで、上層階にはこれまで超高層ビルにはできなかった無柱のオフィス空間、そして下層階には、それまでできなかった大きな吹き抜けの空間ができたそうだ。
そして、この技術、いまでは多くの超高層建築で採用されている。
建築において、さまざまな要件のすべてを満たした形(結果)が、いま目の前にできあがった建物(成果)となるわけで、そこに至るまでの道のりを想像すると気が遠くなってくる。
本書を読んでみると、最初は、強引そうだったり、無理そうな、意外とかなり自由な発想で作られていることがわかる。
そして、それをなんとか実現しようと、さまざまな発想が生まれたり、思いつ気によって、解決したりすることもある。
「構造設計は世界で一番面白い仕事だ」という言葉が出てくるが、これは発想が形になっていくさまを体感した者が実感することだろう。
その実感をするためには、相当な苦労があればこそだろう。
