電卓のデザイン/大崎眞一郎

- 電卓のデザイン DESIGN OF ELECTRONIC CALCULATORS
- 大崎眞一郎
- 太田出版 2012-01-26
by G-Tools , 2013/12/09
最後に「電卓」を使ったのはいつだろう?
今の仕事で電卓を使うことがないせいか、ふだん、わざわざ電卓を取り出して使う機会がまったくない。
計算が必要なら、iPhoneやパソコンで計算機のアプリを使う。
この本では、これまで登場したさまざまな電卓を一堂に紹介。そのデザインの変遷を見ることができる。
日本初の電卓の誕生は1964年、世界初のオールトランジスタ電卓だった。
来年でちょうど50年という節目の年になる。
重量25kg、535,000円。当時乗用車と同じだった。
厳しい制約がありながらも、そこに機能、価格、デザインを盛り込んでいく過程が、電卓の進化を促した…のかもしれない。
1971年に発売された電卓は、なんとボタンが小さすぎると考えられたという。
今の感覚からいったら、ちっとも小さいとは思えない大きさだが、当時はそうではなかった。その結果、なんとボタンを押すためのタッチペンが添付された。
コストを抑えるため、ボタンを取り払い、電流の流れるペンを金属板に接触させるなんていう手法も登場。
1972年に登場した、カシオミニは、世界をあっと言わせた。
当時3万円はした電卓を、一気に12800円で売り出し、そのわずか3年後の、1975年には4800円になっていた。
そしてあの横長のデザインは、そろばんが発祥だという。
そろばんに代わる個人向けの計算機という意味が込められていた。
その後、電卓は、コンピューターも進化へとつながっていく。電卓が果たした役割が大きい。
そこに日本のメーカーも大きく関わっている。
関数電卓を除けば、限られた数のキーボードと、入力した数字と計算結果が表示される部分さえあれば、どんなデザインでもアリなのが、電卓だ。
ラジオや時計、ペンと合体、なかには、アタッシュケース型など、ゲーム付き、そろばん付きといった電卓も。
また、かつては、ノベルティでも電卓は大活躍していた。
最近、自分の身近ではあまり活躍の場がなくなっている電卓だが、こうしてあらためて振り返ってみると、すごくおもしろい。
実は、土曜日に見学した、東京理科大学近代科学資料館は、この本がきっかけで知ったのだ。
本書でも紹介されている電卓も多数展示されていた。
本書のサイズが小さいので、掲載されている電卓の写真も小さいし、文字が小さくなってしまうのは、仕方がないとは言え、残念。
機会があれば、ぜひ本物を直接見に行ってもらえればと思う。