幻の国鉄車両/石井 幸孝

■鉄道, 龍的図書館

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以前は、空想上とか未完成の作品には、あまり興味がなかった。「実現できなかった」という事実が、すなわち“欠陥"そのもののような気がしていたからだ。

しかし最近はむしろ興味の対象になってきている。実現できなかった理由は欠陥という問題ばかりではない。当時の開発の状況を知ることで、その時代背景や関係者の苦悩のようなものに、触れることができるような気がしてきたからだ。

さまざまな理由からこの世に生まれることのなかった鉄道車両を、詳細な解説や設計図を交えて紹介。東海道新幹線を走る計画だったコンテナ貨物列車や近郊型電車、環境対策として検討された蓄電池式機関車EB90(EB90)形や、線路と道路の両方を走ることのできるアンヒビアンバスなどは、現代を先取りした計画がなされたなど、興味深い話が盛りだくさん。

なかでも、1ページしか書かれていないが、原子力機関車AH100形にはびっくりした。原子力発電所を建設するだけでも猛烈な反対運動が起きるのに、そんなのを走らせてしまおうというのだからすごい話だ。実用化しなかったのは、そうした反対運動ではなく、原子炉自体は1.3tに抑えられたが、放射性物質を逃さないために必要な遮蔽体が実に109tにもなり、結果的に機関車の全長は29.8m、総重量179tという途方もなく非現実的な機関車になることが予想されたためだった。時代を感じさせる。

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Posted by ろん