2062 ASIMOのもう一つの失敗

定点観察

ホンダの二足歩行ロボット「頭から落下」会場が凍りついた瞬間 という記事を見つけた。(ウエブ魚拓によるキャッシュGoogleVideoの動画

ASIMOは、本田技研工業(ホンダ)の誇る世界的に知られた二足歩行ができるロボットだ。二足歩行は技術的に難易度が高いが、数々の困難を乗り越え、CMやショーに出演したり、人間顔負けの動作ができるように進化し続けてきた。

とあるASIMOのステージ。

「実は人間は、さまざまなバランスを足で取って歩いているのです。だから、ロボットにとっては、とても難しいことなのです。その2本の足で歩く、ということを、世界で初めて実現したロボット。それは、ASIMOなのです」

そんな紹介された瞬間、階段を上っていたASIMOが落下、そして転倒!
そして転倒したままASIMOが…

「今、わたしは、足の裏のセンサーで階段を確認し、細かくバランスを…」

と虚しくしゃべり続ける。
照明が落とされ、スタッフが大急ぎで、無惨に倒れたASIMOの前に衝立を立てる様子が克明に写し出されている。
この件に関して、ホンダの広報部は…

「その(動画の)件については、ちょっと承知していません。細かいトラブルぐらいは起こるかも知れませんが、通常はスペアを用意してあって、1台で(イベントに)臨むことはありませんので、基本的には中止、ということはありません」

と答えたと言うが、この回答に軽い違和感を持った。

トラブルがあった場合でも、別のASIMOに代えることでしのぐ…と言っているのだ。つまり「失敗を隠します」と言っているように聞こえる。なんてことはない、ここで写された衝立で隠した出来事と大して変わらない。

こうしたステージでは、トラブルや失敗はつきものだ。まして非常に難しい技術を使ってるのだからなおさらだ。ショーができるようになるまで、数々の失敗があったはず。そうした失敗の積み重ねを隠すような姿は、見ていてとても変だ。綺麗事だけ見せるステージにどれだけの意味があるのか?

このような問題やトラブルが発生したときだからこそ、隠すようなことはせず「失敗から何を学ぶか?」ということを紹介する姿勢が大事なのではないだろうか? そうしたことを紹介するとても良い機会なのではないか?

確かに、今回のようなASIMOの転倒はひとつの失敗だと思う。けれどこうした失敗を生かし切れないことの方が、ホンダにとってもっと大きな失敗に思えてならない。

Posted by ろん