写真と地図で読む!帝都東京・地下の謎/秋庭 俊

■建築・都市,龍的図書館

4896918118 写真と地図で読む!帝都東京・地下の謎
秋庭 俊

洋泉社 2004-04
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著者や出版社にとってこのようなムック形式の書籍は「一粒で二度美味しい」存在なのかなと思わせることがある。確か「帝都東京・隠された地下網の秘密」という本でも読んだような気がする記事が多く、あまり目新しい感じがしなかった。都市計画というものは最初から最後まで一貫していることなど、まずあり得ない話だ。完成に至るまでに多くの紆余曲折があるわけで、その結果が現在の姿である。その経緯についてはどの程度一般の人が知ることになるのかはよくわからないが、よほどのことがない限り、知らされることはない。だからこそ興味深い題材なのに、本書の中途半端なツッコミを読むと溜息が出る。「国民の目から隠されてきた闇に眠る謎を解き明かす!」という表紙の言葉とは裏腹に、著者の疑問を投げかけるにとどまっているのは、前著とあまり変わっていない。知られざる地下スポットとして紹介されている場所も、別に隠しているわけでもないような気がするし、自分の常識の範疇で謎を作っているような気がしてならない。とりあえず、一点だけ僕でもすぐわかる回答を挙げておく。「大江戸線が幅の広い線路を選んだ謎」…大江戸線は従来の鉄道と異なり車両自体に回転するモーターを持たず、レールとレールの間に置かれたコイルを使って走行する。つまり幅の広い線路はその間にコイルを置く必要があったからに他ならない。小さいトンネルとレールの幅は関係がない。もうちょっと鉄道に詳しい人に聞いてから書けば良かったのに。
(店長オススメ度: ★★☆☆☆ /2003/12/14更新)