5日目
5日目/8月25日(金曜日)晴れ
今日は駅から
オスロ駅
今日は駅から列車で旅立つ。なんか嬉しい。
例によって早く起きてしまうので、今朝も駅まで行ってきた。時刻は、午前6時を回ったところ。まだあまり人影がない。
プラットホームに行ってみると、これから乗る列車(8時11分発)より、1本早く出発するベルゲン行きの列車が、6時35分の出発時刻を待っていた。
ホームでは自転車を積み込もうとする人たちの姿が…ほんとに、どこ行っても自転車と鉄道の相性はいい。日本だと混雑して、邪魔だってことになるんだろうけど。
駅の構内に、証明写真を撮ってくれる機械を発見。50ノルウェークローネ=約921円。ちょっとお高めか。
いったんホテルに戻って、出発の準備をする。
出発の準備を終え、再びオスロ駅にやってきた。
8時11分発のベルゲン行きは、3番線から出発。
8時11分発のベルゲン行き列車は、オスロ空港からやってきた時に乗った車両と似てる。色は違うし当然仕様も違うのだろうけれど、同じ型のようだ。オスロ駅は、ほかのヨーロッパの主要駅同様に、行き止まり式の駅だが、唯一ここのホームからは、そのまま駅を突き抜けて行くことができるようになっている。ベルゲン方面行きの列車は、このホームから出発することになる。
かなり長い編成で、スーツケースを持って乗る場所を探すのに、ちょっと苦労した。
車中で…
列車に乗ってしまえば…
特に何をするでもなく、ぼーっと外を眺めているのみ。
途中の、ミュルダール駅までの約4時間半の旅の始まりだ。
外を見ているとどんどん景色が変わって行くところは、飛行機と違った楽しみだ。もちろん飛行機から雲の変化を見るのも楽しいが、それとはまた別ってことで…
ただ、仕方がないとは言え、日本人家族の子供の泣き声には、正直閉口してしまった。とにかく元気な子供で、列車に乗っているかなりの時間、ずっと泣き続けていた感じだった。そのご両親の苦労は察してあまりあるけれど…
列車は街を抜け、いつしか建物がほとんど見えなくなってるところを走っていた。
そして、いつのまにか木が一本も生えてない荒涼とした大地を走っていた。森林限界を越えていたようだ。車内放送で、ノルウェーで一番高いところを走行してます…みたいなことを言ってた。
この、Finse駅が、ノルウェー国鉄最高地点1222mに位置しているらしい。
プラットホームには、おびただしい数の自転車が…まさか放置自転車…というわけではなくて、レンタサイクルのようだ。ここを基点に、サイクリングをしている人たちの姿を車窓からも見ることができた。 ほんと、みんな自転車好きだ。
車掌さん大忙し
車掌さんは、もちろん日本と同じように、お客さんが切符をちゃんと持っているかどうかのチェックや扉の開閉などの業務をしている。ただ、日本と違ってるののは、すぐ隣のビュッフェで、コーヒーを作ったり、軽食の準備なんかもやっていたってこと。かなり忙しそうだった。
フロム鉄道
乗り換え 何があったのかよくわからないが、定刻より20分近く遅れて13時10分ごろに、ミュルダール駅に到着。乗り換える先のフロム鉄道は降りたホームの反対側に停車していて、乗り換えはとても簡単。しかも、フロム鉄道の出発時刻は13時27分なので、そんなに慌てることはなかったのだが、降りた客のほとんどがフロム鉄道への乗り換えだったので、まず席を確保しようという気持ちがあったのかもしれない。 発車まで間があるのに、ホームにはほとんど人がいなくなってしまった。
車内は、登山鉄道という特殊な環境であることを忘れさせてしまうほど、ゆったりと大きな造りで、木を多用した内装が暖かみを感じさせる。観光客は世界各地から集まっている感じで、見たところ日本人は、オスロから一緒にやってきた家族連れだけのようだった。
ハイライト
謎のイベント
列車はしばらくは知ったのちに、いったん停車。
なにやら車内放送があったかと思ったら、乗客たちが、わらわらと降りはじめたので、遅れないように一緒になって降りる。
ショスとかヒョースとか言われている滝は、目の前だった。落差は100m近くもあり、水量も豊富でかなりの迫力がある。
みな思い思いに写真を撮る。
写真で見るとわかりにくいけど…
(拡大↓)
!
すると、どこか演歌調の曲が流れてきて、滝の中間あたりで、何か動くのが見えた。どうも
一路フロムへ
発車時間が来たようで、車掌さんたちが、笛を吹いて列車に戻るよう乗客たちを促す。
みんなきちんと言うことを聞いて列車に戻っていく。
列車は、そろそろと走り始める。電気機関車で引っ張られるので、車内はとても静かだ。
しばらくすると、車窓からはおもちゃみたいな小さな家がいくつも見えてきた。ショスの滝から30分ほどかけて、終点のフロムに到着。
フロム駅は、フィヨルドに設けられた港のすぐ近くにあって、駅舎と線路脇に設けられた、フロム鉄道博物館以外にこれといった建物がない。
乗り換えのためだけにあるような感じで、実際に乗客のほとんどが、駅のすぐ隣にあるフェリー乗り場に向かった。
ただ船の方の準備が遅れていたのか、列車が到着したのにかなかな船に入れてもらえず、入り口にはたくさんの人たちが10分近く並ばされることになった。
フィヨルド
クルーズ
これまた音もなく…
船は3階建てになっていて、ほとんどがオープンデッキになっている。一番人気が高いのは、やはり3階部分だが、視界に大きな違いはなく、とりあえず2階後方のデッキに腰を下ろす。
相変わらず音もなく、いきなり出発。
岸壁を離れると、フロムの駅のあたりがいかに何もなかったかがよくわかる。
雨がぱらぱらと降ったりやんだりする天気。太陽が出てないこともあって風が冷たく、レインコートを一枚羽織りたくなる。
船が進むのに合わせて、かもめが一緒に飛んでいく。
誰かが餌をあげているわけではないのだけれど、別の船であげることがあって、それを期待しているのかもしれない。かなり長い時間、ずっと沿うように飛んでいた。
山と海の間のわずかな平地に建物が寄り添うようにして建っている様子が見えてきた。場所によっては、これらの集落へは陸地からは行けず、海からしか行けないところもあるらしい。
しばらくすると、集落らしい建物が見えなくなってくる。
各国の言葉で、船から見える景色の案内がある。ただ、あまりよく聞こえない。
断崖絶壁に建つこの白い建物は、確か教会らしいのだが、どういったいきさつでここに建ったのか、よくわからない。ただ少なくとも、簡単に行けるような場所ではないことは確かだ。
船は、切り立った崖の隙間を縫うように進む。
そもそも、ここが海だというのが、ちょっとヘンな感じがする。カモメも一緒になって飛んでるということで、なんとなくここが海だってことはわかるけれど。
フィヨルドで気になったのは、その地形だけではなくて、崖に浮かぶ雲。
まるで、きんと雲 みたいな、綿飴みたいな、小さくまとまった雲が、すぐ手の届きそうとなところに浮かんでいる。
そして、ちょっと目を離したすきに、この雲はきれいさっぱり消えてしまうのだ。
途中、民家も何もない、滝の目の前で船は止まった。
何してるんだろうと思ったら、どうやら滝から直接くみ出した水を配ってくれているらしい。船内放送でも説明があったのかもしれないが、何せよく聞こえないので、そんなことをしていると気づくまでにかなり時間がかかってしまった。
さすがに水は冷たくて美味しい。日本だったら、そのまま「フィヨルドの水」みたいにして売り物になりそう。
今度はバスへ
グドヴァンゲンに到着
船は、定刻通り…って、あまり気にしてないけど、グドヴァンゲンに到着。ここもフロムと同じように、これといった目立つ建物もなく、乗り換えのための中継地といった感じに見える。
ここからはバスに乗り換える。
ただ、バスが何台も並んでいて、いったいどれに乗ったらいいのか皆目見当がつかない。
とりあえず目星をつけたバスに乗ろうと、バス側面にあるトランクスペースにスーツケースを押し込んで、乗り込もうとしたら、「もういっぱいだから別のバスに乗ってくれ」みたいなことを運転手氏が言う。おじゃこも先に乗ってるし、それじゃ困ると、ほとんど無理矢理乗ってしまった。
バスに揺られて、約30分ほど。これまで平坦な道を走ってきたバスが、急に狭い山道を、これまた結構なスピードで上り始めた。向かった先は、風光明媚な展望台のあるホテルで、ここで、写真撮影兼休憩ということになっているらしい。
かなり有名な場所らしく、別の観光バスなどもたくさん集まっていた。
ヴォス駅から…
30分くらいで、バスは目的地のヴォス駅に到着。
ちょうどついたときには、大雨が降っていて、バスから降りた人たちは駅舎に入るしかなく、ただでさえ狭い駅舎の中はたくさんの人たちでごった返していた。
しかもバスは次々とやってきては、お客さんを降ろしていくので、混雑する一方だった。
ヴォス駅から、きょうの最終目的地であるベルゲンへ向かう列車は、ヴォス始発のようで、すでにホームに入線していた。発車まではまだ時間があったが、早めに列車の中に誘導された。
オスロからミュルダールまでは、全車指定席の特急車両だったが、最後は堅いシートの自由席、普通列車になってしまった。まぁ趣味的には、これはこれでいいのだけど、なんだか一貫性がないという気がする。
ヴォスの駅舎の壁には、標高57m、オスロまで385km、ベルゲンまで106km と書かれていた。
ベルゲン到着
約1時間半後…せっかく普通列車でのんびり移動するのだから、車窓でも楽しんでもいいかと思ったのだが、なぜかかなり眠くて、ベルゲン到着まで、ほとんど完全に寝ていた。堅いシートで、背もたれが背中あたりまでしかないので、かなり寝づらかった。約1時間半後、ようやく、きょうの最終目的地、ベルゲン駅に到着。時刻は午後9時になろうというところ。ノルウェー第2の都市ということもあってか、駅構内はとても風格がある。
ホテルは、駅のすぐとなり。道路を渡って反対側だから、10秒もかからない。まだ周囲は明るかったので、少し街を散策しようかと思ったが、やはりなぜか疲れていたので、すぐにホテルに戻って、明日に備えることにした。