海底トンネルの造り方/下石 誠
- 海底トンネルの造り方──水の力でつなぐ沈埋工法
- 下石 誠
- 日経BPコンサルティング (2024/11/21)
本書はそのタイトル通り、海底トンネルの造り方を紹介している。
著者は長らく五洋建設で、沈埋トンネル建設に携わっていた技術者だ。
以前から土木に興味はあるので、海底トンネルといえば沈埋トンネルのことを指すのだろうということは、すぐわかる。
トンネル本体となる沈埋函(ちんまいかん)をあらかじめ製作し、それを海底に掘ったトレンチ(溝)に沈め、沈埋函同士をつないで海底トンネルを建設する方法だ。
先月、大阪・関西万博の会場となる夢洲へのアクセスの中心となるOsaka Metro中央線に「夢洲駅(ゆめしまえき)」が開業したが、この駅に至る夢洲トンネルも、沈埋工法で建設されている。
複数の沈埋函をつないでトンネルを作るという仕組みはわかるけど、どうして水が入ってこないのかと不思議だったが、本書でその理由がよくわかった。
海底トンネルという場所だからこそ利用できる力「水圧」を利用しているのだ。
この力は非常に大きい。先述の夢洲トンネルにつながる大阪港咲洲トンネルが、まだ建設中だった当時阪神淡路大震災に見舞われるが、大きな被害はなかったという。
日本では、多くの沈埋トンネルが建設されているが、少しずつ進化していて、次々と新しい方法による工事が行われていることがわかる。
年単位という巨大プロジェクトでありながら、新しい方法を貪欲に取り入れていっている感じだ。
「あらかじめ作った沈埋函を海底でつなぐ」という部分は、まったく変わらないが、①沈埋函をどのように作るか?、②最後に沈設する沈埋函をどのように接合させるか?という2つが、沈埋トンネルは大きく進化させる大きなポイントであったようだ。
①の沈埋函は、かつて陸上で沈埋函を作る「ドライドック」による方法が取られていたが、その後、鉄筋を使用せずコンクリートを鋼板でサンドイッチ状に挟み込んだ構造にすることで、ドライドックを必要としない方法が開発される。
②の最後の接合は、これまでは水中での作業をともなう、沈埋工法で最も特殊な部分であったと言える工程だったが、2つの沈埋函同士を自重や圧力さを利用した楔状の”Vブロック”を接合させる方法が開発され、さらに、そういった特殊なVブロックではなく、通常の沈埋函の両端に傾斜をつけて接合させる「キーエレメント工法」が開発された。
この2つの進化によって、これまで建設が難しかった場所での海底トンネルの建設が可能となったという。
少々専門用語も出てくるが、非常にわかりやすく、おもしろかった。
