鉄道会社はややこしい (光文社新書) /所澤 秀樹
鉄道会社はややこしい (光文社新書)
所澤 秀樹
光文社
首都圏では当たり前になっている、地下鉄と郊外を走る鉄道との相互直通運転。
そのほかの地域や世界に目を向けてみると、あまり例がないようだ。
そんな相互直通運転などの、他の鉄道会社への乗り入れに関する話題を、“マニア的”視点で紹介している。
どんなことでも、仕組みや背景がわかると、おもしろいものなので、たとえ鉄道に対する興味がそれほどでなくても、興味深い事実を知ると楽しくなってくるはずだ。
日本初の相互直通運転となった都営浅草線は、いまでも、京成電鉄、北総鉄道、芝山鉄道、京急電鉄が乗り入れていて、本来の都営浅草線の車両は、あまり走っていないという状況になっている。次にやってくる電車が、どこの鉄道会社の所属か?と気になるようであれば、ちょっとした“鉄道好き”かも。
このような運転方法を実現するためには、裏でさまざまな“仕込み”があってこそ。
本書では地下鉄ばかりでなく、JRと第三セクターの乗り入れなどの事例もあわせて紹介し、かなりディープな内容となっている。
たぶん著者が、だんだんと調子が出てきて書くのが止まらなくなってしまったのではないかと感じさせるくらい、話が込み入っているなと感じさせられたり、ややこしいことを扱っていながら、解説図や路線図などがあまり載っていないために、余計に難しく感じさせる部分もあったように思う。
また、自身の話に対して「ほざく」といった言葉が出てくるくらい軽妙な語り口は、複雑な仕組みを理解するための敷居を下げる気もするが、人によっては抵抗がある気もしたし、読み終えてみると、やはり、この本は、“マニア向け”だと思った。