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9月2004年10月11月
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2004年10月

超高層ビルなんでも小事典-意外に知らないその素顔

鹿島建設/編集
講談社 ブルーバックス
525円(税込)
 サブタイトルにもあるように、意外と知らない超高層ビルについての情報をわかりやすく教えてくれる。「地震が多く地盤が緩いところで超高層ビルを建てることができるのはなぜか」「大きさの割に早く完成するのはなぜか」「建設中に使われた巨大なクレーンは工事終了後どうなるのか?」なんてことは、実は知っていたりするのだが、前からちょっと疑問だったことが言われて気付くネタがたくさんあった。そのうちのいくつかを紹介しよう。ちょっと古い本だけれど、ここに書けなかったことも含めて、今でも十分通用する話ばかり。おもしろかった。

エレベータの数や配置の工夫
例えば、30〜40階建ての一般的なビルの場合、まずフロアを4つくらいに分け(これをバンクと呼ぶらしい)、それぞれにエレベータを6台くらい用意するのだそうだ。つまり1階(ロビー階)には、だいたい24台程度のエレベータが並ぶことになるが、これが100階建てだったらどうなるか?単純に考えると、12バンクは必要となって、ロビー階には、なんと70台以上のエレベータが並んでしまうことになる。なんのために超高層ビルを建てたのだかわからなくなる。そこで、30階建てのビルが3つ積み重ねるという考え方が編み出された。ビルの30階くらいのところにスカイロビーを設けて、それぞれをつなぐエレベータを用意するやり方だ。なるほどうまいこと考えるな…実際にこれが使われた例として挙げられていたのが、今はなきワールドトレードセンターだったのだけれど…
外壁掃除の理由
 外壁掃除って見栄えだけなのかなと思っていたら、(もちろん見栄えという理由もあるが)外壁の材質によっては腐食するおそれがあるからなのだそうだ。また高さによって汚れが違うそうで、10階付近が一番汚れているらしい。
給水と排水の話
ビルにはたいてい給水タンクがあるものだけれど、超高層ビルの場合はどうなっているか?もちろん一番上にあるもんだと思っていたが、もし本当に一番上だけに置いてあったらどうなるか?例えば150mの高さのあるビルの1階付近では、水圧150mの水が噴き出すことになる。普通の水道では10〜20mの水圧というのだから、そのすさまじさは想像に難くない。間違いなく事故になる…で、どうするかというと、なんてことはない、ビルの途中にいくつか給水タンクを設置するとのこと。ちなみに、排水は大丈夫らしい。最初は給水と同じようにものすごい勢いで落ちていくものと思われ、それを予防する排水管が作られたケースもあったらしいが、実際には、管の内側を水で満たされておらず、排水は管の内側をまとわりついて落ちていくため、2〜3階以上の高さがあっても、まったく問題ないらしい。

(2004/10/09) 【★★★★★】 −04/10/10更新



鉄道「歴史・地理」なるほど探検ガイド   ボロ貨車博物館出発進行
川島 令三、 岡田 直/著
PHPハンドブックシリーズ

1,470円(税込)
 すっかりわかりきっているはずの鉄道も、現在に至るまでの道のりについては知らないことも多い。それを駅の立地や駅そのものの構造などに焦点を当ててわかりやすく紹介。著者の川島令三はちょっと物事を決めつけすぎるところがあって、歴史を探る本であって問題点を探る本ではないはずなのに、いつものように「〜すべきだった」と彼の持論を展開するところがちょっと嫌だけれど、知らない話も結構あって興味深く読めた。ただ、この本がなぜゆえ小辞典のような、新書判なのに表紙が固めのしっかりとした体裁なのかがよくわからなかった。別にどうでもいいのだけれど…
(2004/10/09) 【★★★★☆】 −04/10/10更新
  笹田 昌宏/著
JTB マイロネBOOKS
1,050円(税込)
 自分の好きなことに打ち込めるというのは、簡単そうでかなり難しい。そもそも好きなことがあるか?周囲はそれを認めてくれるか?先立つお金の心配はないか?…さらにこれらの変数に運というもっともやっかいな変数が加わるから、なかなか思うようにいかないものだ。話が最初からそれたけど、ちょっとしたきっかけから、貨物鉄道博物館を創設するまでの道のりが生き生きと描かれている。この本を見るまで、日本の繁栄を支えてきた貨車があまりにもあっけなくこの世からなくなりつつあるという現実を知らなかった。確かに記憶の中にかすかに残る貨車を見ようにも、見られるところって思いつかない。ぜひ一度行ってみたい。
(2004/10/09) 【★★★★☆】 −04/10/10更新

譲渡車両今昔   検証9・11とハイジャック・テロ―機内の真実
吉川文夫/著
JTB キャンブックス

1,890円(税込)
 まえがきでも書かれているが、鉄道車両にも人生ってものがあって、その鉄道・路線で一生を終える車両もあれば、他社に譲渡されて第二の人生を歩む車両もある。そんな車両たちの走り始めた鉄道の写真と、譲渡先の写真とを対比してみようというのが本書の企画。興味深いのは同じ形式のものを対比したのではなくて、全く同一の車両を対比しているところが楽しい。それにしても、よく撮っているなぁと感心する。著者がそれぞれの車両に成り代わって「ひとりごと」を言うコラムがあるが、それもなかなか楽しい。
(2004/10/09) 【★★★★☆】 −04/10/10更新
  青木 謙知/著
広済堂出版

1,365円(税込)
 170ページ近くある本書の中で、同時多発テロに関する話は10〜41ページにとどまっており、タイトルの検証という部分に期待するとちょっと物足りなさを感じる。航空評論家らしくさまざまな空港施設を利用していることから、テロ以降の各空港の検査体制を身をもって体験しているレポートを見ると、同じ「空港」という施設であっても国や地域によってその体制が結構まちまちであることがわかる。さらに、これまでに発生したさまざまなハイジャックの実例を挙げ、それを受けて最終章ではどうすればハイジャックが防げるかという課題に挑んでいる。いくつかの提案が載っているものの、(本書にも書かれているけど)どれも決定打に欠ける。最終的にはハイジャックに合わないことを祈る…みたいなオチなので、ちょっと尻すぼみといった感は拭えない。
(2004/10/09) 【★★★☆☆】 −04/10/10更新

機長の「失敗学」   日本の風景を殺したのはだれだ?
杉江 弘/著
講談社

1,680円(税込)
 著者は現役の旅客機の機長だそうだ。当然同業者ならば御巣鷹山に墜落したJAL123便の事故については一言も二言も言いたいことがあるだろう。そんな思いを綴っている。失敗から何を学ぶか?というごく当然のことを真正面から取り組む姿勢は、(本書を読む限りでは)曖昧な報告に終始した、事故調査委員会や現役の航空会社関係者に読んでもらいたい内容ばかりだ。こうした内容に批判的な人も多いようで「殉職したクルーに失礼だ」とか「死者の霊にむち打つのか」という意見も少なくないとのこと。でも利用する側からしたら、こうした事故を起こして欲しくないのは当然で、鞭打つとか失礼という批判は間違ってると思う。亡くなられた方もきっと理解してくれると思うがどうだろう?本書後半では著者の数々の経験で問題を切り抜けていった様が生き生きと描かれている。でも読み終わってふと思った。この著者の失敗ってほとんど書かれていなかったような…気のせいかな?
(2004/10/09) 【★★★☆☆】 −04/10/10更新
  船瀬 俊介/著
彩流社

1,995円(税込)
 「自分の好きなデザイン、色で家を建ててナニが悪い」「高い金払うビルや。好みの外観にするのは当然」「個人の財産権や。憲法でも保障してまっせ…」。今の都市の風景がゴチャゴチャしている背景をこんな言葉でまとめている。でもなんでみんな関西弁なんだろう…と思ったところから、この著者のかなり偏向した書き方が鼻につく気がしてきた。この著者の船瀬俊介って、あの「買ってはいけない」の著者でもあったのね。視点は悪くないし同感できる部分も多いのに、書き方がどうも気に入らない。この違和感は何なんだろう。箱根湯本駅の改修を小田急に頼んでみたり(実際は箱根登山鉄道)、川越の蔵造りの街並みのある商店街を「小江戸通り」と読んでみたり(実際は一番街)、知ってる人が見たらすぐにおかしいと思うところがこうして出てくると、他の記述も胡散臭く見えてきてしまう悪循環。日本の建築にもの申す姿勢はいいんだけどね…
(2004/10/09) 【★☆☆☆☆】 −04/10/10更新

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