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8月2004年9月10月
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2004年9月

伝書鳩―もうひとつのIT

黒岩 比佐子/著
文藝春秋
714円(税込)
 冒頭、著者があるインターネットのウエブサイトで目にしたという「日比谷公園に鳩が多いのは、もともとこの近辺に新聞社が多く、かつてそこで伝書鳩として働いていた鳩の子孫が集まっているからだ」という文章が目にとまった。なるほどそういうこともあるのか…と思いながら、読み進めていったが、実はそういうことではなく、もともと伝書鳩として従事していた鳩たちは愛鳩家に引き取られ日比谷にいる鳩とは関係ないということが書かれている。先祖が伝書鳩だったらちょっとおもしろかったのに…。有線通信が非常時には使えず、無線通信もまだ登場したばかりで心許ない時代、帰巣本能に基づいた鳩の能力を生かして、情報が上空を行き交っていた時代があったのだ。ピカソとモネの絵を見分けられるくらい、鳩の高い能力は結構知られているが、第二次大戦後アメリカでは、鳩を使った誘導装置の開発をしていたという。ミサイルにコックピットと同様の操縦席を設けそこに鳩が乗せられ、訓練を受けた鳩が敵の目標物に向かっていく様は、まさに特攻隊だ。結局科学技術が鳩を超えたためにこの開発は中止されたらしいが、鳩の能力の高さを思い知らされる事実だ。伝書鳩に関する知られざるエピソードがたくさん載っている。これまでベランダにやってくる鳩除けや「フン害」対策といった話題しかあまり関心がなかったので、これからはちょっと鳩を見る目が変わるかもしれない。
(2004/9/11) 【★★★★☆】 −04/09/11更新


イラク戦争と情報操作

川上和久/著
宝島社

756円(税込)
 図らずも、アメリカ同時多発テロから3年経った頃から読み始めた。これまでの戦争報道を振り返ってみると戦争に突入するまでの流れも含めて、興味深いことに全く同じような経緯をたどっていることがよくわかる。歴史は繰り返すのだ。…いや、同じような経緯をたどるように仕向けているのかもしれない。
 かつてアメリカの「宣伝分析研究所」というところで、プロパガンダは「7つ」に分類できることを見いだしたという。これが発表されたのは第二次大戦頃だったらしいが、まさに今でも通用する事象ばかりなので、そのまま引用する。

ネームコーリング
攻撃したい相手に対して、悪いイメージのレッテルを貼る操作…イラクを「悪の枢軸」と名指しした。
華麗な言葉による普遍化
対象となる人物や集団、あるいはその行為を多くの人たちが普遍的価値と認めているような価値と認知的に結びつける手法…イラク戦争の際、「不朽の自由作戦」と名付けた。
転移
多くの人たちが受け入れやすい、権威ある存在を見方につけることによって、自らの考えを正当化しようとする試み…大統領の外交姿勢は、キリスト教原理主義と結びついているらしい。
証言利用
信憑性があると認められた人物が語った、という形で人物の証言を利用することで自らの説得製を高めようとする手法…イラク反体制派の人物による証言を何度も利用した
平凡化
コミュニケーションの送り手が、受け手と同じような立場にあることを強調することで親近感を得ようとする…大統領は庶民的イメージを植え付けるのに腐心している。
カードスタッキング
トランプでいう「いかさま」都合がいい事柄を強調し、都合が悪い事柄を隠蔽する…まさに現在イラクで起きていると言えないか?
バンドワゴン
大きな楽隊が目を引くようにその事柄が世の中の趨勢であるかのように宣伝する方法…こちらも、イラクに隠されているとされた大量破壊兵器の話は記憶に新しい(結局見つからなかったが、この際見つからないことはどうでもいいことのようだ)

(2004/9/26) 【★★★★☆】 −04/09/11更新


偽装するニッポン-公共施設のディズニーランダゼイション

中川 理/著
彰国社
2,447円(税込)
 ディズニーランドのような閉鎖された空間でのみ体感できた「テーマ」が、いま日本中で、本来ならば「ありえなかった」空間に進出している。筆者はこれを「ディズニーランダゼイション」と読んでいるが、歴史上存在しなかった天守閣や地元とは直接関係ない有名建築を模しただけの公共施設、地元にゆかりのキャラクターを頭に乗せた電話ボックスやトイレといった、一風変わった施設が日本のあちこちで見られるようになってきた。今や見慣れてきた感もあり、よほどのことがない限り驚かなくなった。本書では写真付きで実例を挙げている。観光本では一般的に見どころとして紹介されていることが多いので写真で見たことのあるものばかりだ。冷静になって考えてみると、それらのディズニーランダゼイションが、本当にその地域や生活という現実と結びついているのかというと、どうも疑問を感じずにはいられない。何となく感じる「わざとらしさ」だ。実際に本書でも、現実とイメージが乖離している(p.208)という例を挙げている。ただ最後まで読んでも「じゃあどうすればいいの?」という結論がわかりにくかった。ただ単純に「ディズニーランダゼイション」に走るんじゃないよという警告として受け止める必要はありそうだ。特に行政に携わる人たちに読んでもらいたい…かも。
(2004/9/28) 【★★★★☆】 −04/09/28更新


墜ちない飛行機 −安全なエアライン、機種を選ぶ   惜別!YS−11
杉浦一機/著
光文社

756円(税込)
 飛行機は墜ちない方がいいに決まっているし、実際1996年以降墜落事故はないが、毎年何らかの事故が起き続けている。それはさまざまな理由はあるが、事故が起きやすい機体や航空会社の傾向は少なからずあるようだ。また国の規制が緩和される方向にある中で、安全対策がおざなりになっているのではないかという指摘も見逃せない。確率的には自動車と比べたら圧倒的に安全な乗り物だし、大勢の乗客が行き交う日本とアメリカを結ぶ太平洋路線に至っては、乗客死亡事故0が続いてる。それくらい危険性は低いものの、ひとたび事故が起きた場合の被害の大きさは、自動車とは比べものにならないという点で、さらに事故の起きる可能性を低くしていく努力は惜しんではならない。事故の事例を挙げながら、今後の安全対策を考えていく。まぁ僕が一緒になって考えていく必要はないのだけれど、なかなか興味深い話ではある。
(2004/9/11) 【★★★★☆】 −04/09/11更新
  坂崎 充/著
イカロス出版

756円(税込)
 長らくYS−11の操縦に従事してきた著者の半生を描くドキュメント。タイトルはYS−11とあるが、一章分をさいて、フェリーという仕事についても詳細が書かれている。フェリーという仕事は飛行機を使用する航空会社まで運ぶ仕事のことで、当然乗客はいないが、通常では有り得ない飛び方(日本国内の都市間程度の距離しか飛べない仕様なのに、アメリカまで運ぶ)をするための工夫など、知られざる世界を覗くことができる。
 全体的な堅苦しい内容ではなく、あくまでYS−11と苦楽をともにしてきた機長の同志”YS−11”に対する思いを綴ったといった感じの本なので、YS−11の商業的、技術的な面についての考察はほとんど書かれていない。その分気軽に読める本とも言える。思い入れのある同志を持てるというのは幸せだ。
(2004/9/11) 【★★★★☆】 −04/09/11更新

京ぽんの本−京セラAirH″PHONE AH‐K3001V活用術  
魚輪タロウ/著
毎日コミュニケーションズ

1,260円(税込)
 これまでのPHS端末で「解説本」が出た機種なんてあっただろうか?それだけ奥深い製品なのが、「京ぽん」こと、AH-K3001Vだ。僕にとって、かなり久しぶりに機種交換したPHS端末になる。この機種の最大の特徴はなんと言っても、一般的なパソコンと同じインターネットサイトを見ることができるブラウザを搭載しているということ。そうなると必然的にブラウザを活用するための方法がたくさん出てくるわけで、やはり解説本が欲しくなってくる。インターネットでもすでにいろいろ紹介されているけど、じっくり本で読むのも悪くない。
(2004/9/26) 【★★★★☆】 −04/09/26更新
 

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