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7月2004年8月9月
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2004年8月

イラクの中心で、バカとさけぶ

橋田 信介/著
アスコム
1,575円(税込)
 2004年5月イラクで日本人フリージャーナリストの橋田信介さんと小川功太郎さんが亡くなったことは記憶に新しい。ということで、さっそく橋田信介さんの遺作となった図書館に予約を入れたのは6月のことだ。それから待つこと2ヶ月余り。図書館から連絡があったその週末に借りてきて、一気に読んだ。命を張って取材している割には、当の本人は至って気楽なもので(本を読む限りでは)、今回命を落とした結果は残念ではあるけれど、それはそれで仕方がない…ときっと本人は思っているのだろうなと思えた。戦争について大上段に構えるのではなく、現場で取材したありのままの事実を伝える…当たり前のことを当たり前にやってきただけ…という調子で書かれた本書は、生きるか死ぬかというギリギリの話の連続なのに、それを感じさせない文体で、気軽に一気に読めてしまった。それでも、いくつかは、いろいろ考えさせられるところもあった。そのうち、いくつか挙げてみると…
「農耕社会ではヨソモノに対して都合が悪い情報は隠す。問いつめると『沈黙』する。遊牧民族でも同じように隠すが、問いつめると『ウソ』を教える。どちらが良い悪いではなく、すでにそれは習性となっている(p65)−。
「『戦場』を語っているだけで『戦争』を語っているのではない。戦場を反対することはバカでもできる。戦争を反対することこそが政治を語ることにつきる。(p266)」
「生き抜くために全力をあげる。戦争国家では、命はかけがえのないものとして大切にされる。平和な社会で生きる日本人は、ヒマだから精神の均衡を失って自殺したり、面白半分に人を殺したりする。平和国家では逆に命は軽んじられている。(p270)」
(2004/7/31) 【★★★★☆】 −04/07/31更新


星さんの鉄道昔ばなし   ドキュメント気象遭難
星 晃、米山 淳一 (著)
JTB
1,050円(税込)
 国鉄時代における多くの鉄道車両のデザインを手掛けた星晃氏と、彼の大ファンだという写真家との対談集。国鉄時代に作られた客車、電車、気動車は、彼のデザインによるものが多い。もう40年も50年も前に考えられたデザインが、今でも日本中に走っているという事実は、それだけ進んだ作品が多かったということなのだろう。鉄道車両デザイナーとしてのポリシーを知ると、鉄道車両の見方がちょっと変わってくるかも。判断に迷ったときには、結構趣味的に決めてしまうこともあったそうだ。計算し尽くし、登録し尽くされてできるものだと思っていたから、少し意外だった。
(2004/8/31) 【★★★☆☆】 −04/09/05更新
  羽根田 治/著
山と渓谷社
1,680円(税込)
 気象の変化による山岳遭難事故7件の例を挙げ、その背景を探っている。事故のひとつひとつを見ていくと、あのときこうしていれば…という事実が数々と出てくる。そしてその多くが、遭難事故を予感させる前兆現象がわかっていながら、早めに決断できなかったばかりに、命を失うという大きな事故になっていっている。「勇気ある撤退」口で言うのは簡単だが、それがいかに難しいかが、この本を読んでいてよくわかる。それは山の初心者であろうと、ベテランであろうと共通の難しさのようだ。本書でも触れられているが、遭難現場で亡くなっている、もしくは死線をさまよっている人がいるのに、「力になれないから」とか「救助隊に任せた方がいい」と言って、その場を通り過ぎてしまう登山者たちが少なからず存在するという事実は、ちょっとショックだった。極限状態だと人間の本当の姿が浮き彫りになる…勇気ある撤退とともに考えさせられる話だ。
(2004/8/31) 【★★★★☆】 −04/09/05更新