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12月2005年1月(1・2)2月
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2005年1月 その2

その1 その2

建築MAP東京建築MAP東京・2   正体不明新・正体不明
ギャラリー間/編
TOTO出版

1,680円(税込)/建築MAP東京
1,890円(税込)
/建築MAP東京・2
 東京における注目すべき現代建築を網羅している。10000分の1(miniは15000分の1)の地図に対象となる建築物の位置を示し、その建物の基本的なデータと解説をつけてあって、実際に見学しに行きやすいように配慮されている。またコラムも示唆に富んでいる内容で読み応えがある。ただ難点を言わせてもらえれば、(想定した読者の対象が違うのかもしれないけれど)全体的にかなり専門的な内容で難しく、紹介された建築物に対する解説が、どれも好意的なものばかりなのがちょっと気になった。ひとつの建築物に対する意見は多様なはずで、そのあたりにも触れて欲しい気がする。建築MAP東京2は、六本木ヒルズをはじめとして、前作で紹介されていない1990年代以降の建築物を紹介している。
(2005/1/8) 【★★★☆☆】 −05/1/8更新

  赤瀬川原平/著
東京書籍

2,039円(税込)/正体不明
2,100円(税込)
/新・正体不明
 路上観察だけではおもしろくない。見たものを写真に収めて、それに自分なりの言葉でコメントしていくことで、おもしろみが出てくる。それを実践したのが、この本。もしコメントがなければ、ただの写真に過ぎないし、逆にコメントだけでは何のことだかわからない。「植物ワイパー」とか「凹んだ凸」なんていうコメントは、自分も感じそうな視点もあったので「先に取られた」みたいな気がしてしまった。前作の「正体不明」は93年発売だったから、この「新・正体不明」まで、実に10年のブランクがある。どちらを見ても、その時の経過をほとんど感じさせなかった。「新々・正体不明」に期待したい。また10年後かな…
(2005/1/8) 【★★★☆☆】 −05/1/8更新

東京窓景   晴れた日は巨大仏を見に
中野 正貴/著
河出書房新社

3,045円(税込)
 風景や建物を中心とした写真を撮ろうとするとき、当然撮りたい風景や建物が中心となって、あまりそれとは関係ない人の姿(特に場違いな格好をした観光客など)は、写真の中に収めたくないと思う。もちろん人の姿を完全に消すことなんてできないので、ある程度妥協してシャッターを押す。ただ、この写真集のように、まったく人がいなくなってしまうと、とてつもない違和感を覚える。おそらくこの違和感を世の中の人と共有しようと写真集にしたのではないだろうか?見慣れた東京の風景から人影が完全に消えている。目を凝らして、どこかに人はいないか探してしまった。でも考えてみれば、これらの写真一枚一枚に最も近い位置にいるのは、実はこの撮っているカメラマン本人だったりする。1990年から2000年までの「誰もいない」東京の姿を写しだしている。写真はいきなり汐留の貨物駅から始まる。もちろんいまではすっかり再開発が進んでしまったが、写真では貨物駅としての役割を終え、使われなくなった車掌車(緩急車)や貨車がずらりと並んだ姿が見られたり、お台場のフジテレビが建設途中だったり、今はなき企業の看板が見えたりと、わずか10年ちょっとの間で、すっかり変わってしまった東京の変貌ぶりも楽しめる。とてもおもしろい写真集だが、ひとつだけ言いたいのは、撮影した場所を巻末に載せてはいるものの、全部ローマ字でわかりにくい。しかも巻末の一覧にはページ番号が載っているのに、写真集本編には一切ページ番号が載っていないので、写っている風景と巻末の一覧から類推するしかない。それも楽しめばいいのかもしれないけど、やはり面倒。
(2005/1/8) 【★★★★☆】 −05/1/8更新
  宮田 珠己/著
白水社

1,680円(税込)
 日本には著者が認定した巨大な大仏=巨大仏が16箇所あって、それらのほとんどを著者が直接見に行ったお話の数々。もうタイトルからしてすっとぼけた感じだし、内容も軽妙な文体でおもしろい。著者と同行する編集者も変わった人たちで、(本編とは関係ないところで)彼らの言動も見逃せない。日本中の巨大仏を見る旅は、そのまま「なぜ巨大仏に興味が出てきたのか」を探る旅になっている。著者は「巨大仏がおもしろいと思うとき、それは本来の宗教というルールをはずして見ているからいいのであって、真剣に信仰心から見ろと言われたらきっと興味がなくなる」と書いている。大仏から宗教を取り除いたら、それは単なる巨大な像であり、日常生活とはまったく乖離した異空間だ。つまり「ルールで割り切れない風景が好きな人」というのは、「社会のルールに乗らず」、「無意味な風景を肯定しよう」とする人たちであるという考え方には共感できる。社会のルールに乗らないというのは、与えられた事象をそのまま鵜呑みにするのではなく、一歩引いて冷静な目で判断しよう(楽しもう)というひとつの生き方だと思う。世知辛い世の中、こういう人は増えてくるし、僕もそんな人たちの一人。

(2005/1/9) 【★★★★☆】 −05/01/30更新


鉄道マル珍名所三十六景 関東編   懐かしの都電―41路線を歩く
所沢 秀樹/著
山海堂

1,680円(税込)
 著者が選んだ関東地方の鉄道の名所、36箇所を巡る本。風景とともにその歴史、背景についても細かく紹介している。実際に著者が取材に訪れているが、取材とは言っても一般人と同じ立場からのものなので、誰もが現地に行けばこうした光景を眺めることができる。そういう意味ではこの本で疑似体験した上で、興味を持ったところや行けそうな機会を見つけたら実際に行ってみるのもおもしろい。この本がきっかけで、用事のついでに東武伊勢崎線堀切駅にちょっと行ってみた。おかげで用事に遅刻しそうになった。
(2005/1/8) 【★★★☆☆】 −05/1/8更新
  石堂 秀夫/著
有楽出版社

1,680円(税込)
 もちろん現役パリバリの都電を知らない世代だけれど、都心を縦横無尽に走っていた時代になぜか関心がある。東京から都電がどんどん消えていく過程は、ちょうど東京がもっとも成長していった華やかな時代と重なり、おそらく一番東京らしい風景がそこにあったような気がする。全41系統を路線図付きで紹介。都電が意外な地域の間を結んでいた話などは興味深い。それぞれの路線における当時の風景と今とを比較し、それぞれにその路線の特徴や沿線の見どころを紹介している。いまでも荒川線だけじゃなくて、もう少し残っていたら楽しかっただろうに…と思えてくる。
(2005/1/8) 【★★★☆☆】 −05/1/8更新


道交法の謎

高山 俊吉/著
講談社

880円(税込)
 序章から「守る人のいない法律」なんて書かれてしまっている道交法=道路交通法について、さまざまな謎や疑問を挙げ、その問題点を指摘する。実際、この法律ほど取り締まりや規制そのものがおかしいと思われている法律はないんじゃないかと思う。たくさんの車の中で、先頭を走る一台が制限速度で走っていて、その後ろに長い渋滞ができるなんてよくあること。そういう渋滞を巻き起こすのがこの法律の目的ではないはずである。本当にその道路に求められる制限速度がきちんと考えられているのか疑問に思うことは少なくない。
 また、事故を起こした人に対して厳罰化する方向に世論も法律も向かっているが、果たしてそれだけで解決するのかどうかと投げかけている。なるほど、事故を起こした個人を処罰したとしても報復的な意味合いはあるかもしれないが、そもそも事故を起こす人は自分は大丈夫という過信から起きており、厳罰化という話も、そもそも自分とは関係ないと思われてしまうと、何の効力もないのだ。重罰主義は為政者によるまやかしと著者は言い切る。
 例えばドライバーに飲酒運転時の問題を実体験させるとか、車や道路自体に事故を防ぐための仕掛けを作るとか、方法はいくらでもあるだろうという。本当にもっともな話だ。この国では時速100kmまでしか出せないような道しかないのだから、時速180kmも出せる車があること自体がおかしいのだ。
 反則金は年間800億円もの収入があり、それを交通安全対策に使っているというなんだか妙な構図ができていることを初めて知った。そういう背景を知ると、こうした莫大な収入のためには、実は道交法違反者を減らしたくないんじゃないかと、容易に想像できてしまうのだけど。もしかすると事故は減らしたくないんじゃないかって。
(2005/1/5) 【★★★☆☆】 −05/1/5更新