東京工業大学建築学科塚本研究室・アトリエ・ワン/著
ワールドフォトプレス
1,600円(税込)
街を歩いていると、よくこんなところに建物が建っているなぁ…と感心することがよくある。ほんのわずかな隙間に建つ建物は、小さくて狭いくせにやけに目立つのだからちょっと不思議。で、この本はそんな建物ばかりを集めた写真集。建物の形や奥の方はどうなっているんだろう…という疑問にも長さ入りの図面で答えてくれる(人間が入れないようなところの長さはどうやって測ったんだろう)。そんな建物ひとつひとつを見ていると、この建物を建てた人の思いが伝わってくるような気がする。この限られた敷地の中でどれだけのことができるのかという限界がわかる。
(2004/12/01) 【★★★★☆】 −04/12/14更新
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デビッド・マコーレイ/著
中江 昌彦/訳
河出書房新社
2,100円(税込)
リアド国の皇太子が、大リアド石油連盟の新しい本部ビルとして、エンパイア・ステート・ビルを買い取り、アラビアの砂漠に移築しようという話。跡地にはエンパイア・ステート・ビルのてっぺんにあった飛行船用の塔をモニュメントとして残して残る土地は公園として無償提供するとともに、地下には新しいメトロポリタン美術館の別館を設けるとか、バスやタクシーに対しては石油を無償提供しましょうなんていう気前のいい皇太子の話に、なんとかこの無謀な計画を阻止しようとしたニューヨーク市民たちも、さすがに心が揺らぎ、結局は解体されてしまう。そして解体の過程を克明に追っていく…という、ちょっと変わった絵本。そして衝撃的な結末へ。アメリカを象徴するビルがなくなるという点では、アメリカの同時多発テロに通じるものがある。もちろんこちらの方が全く健全ではあるけれど。
冒頭の以下のコメントは意味深だ。
失ってみて
はじめて
その大切さに気づく
人たちへ
(2004/12/01) 【★★★★☆】 −04/12/14更新
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