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龍的書店

1月2005年2月3月
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2005年2月


日航機墜落

河村 一男/著
イースト・プレス

1,680円(税込)
 当時墜落した現場となった群馬県警察本部長そして日航機事故対策本部長を務めた著者が、当時の状況を克明に振り返っている。まさに事件の最前線における当事者が書いたものだから、現場の混乱も含めてリアルな状況がかいま見える。六章あるうちの四章までが、現場を特定するための経過をたどる話が占めるほど、初期の混乱がいかに大変だったかということがわかる。まず現場の特定がなかなかできなかったという問題。たくさん寄せられる目撃情報は振り返ってみればどれも事故機ではなく、捜索中のヘリコプターであったり、噂が噂を呼んだ一人歩きした情報だったり、裏付けも取らずに報道された内容をそのまま確認もせずに別の会見で発表されたり…その結果、現場発見までにかなりの時間を要することとなった。実際には現場はかなり急峻な山奥だったので、発見できたとしても救助までできるかどうかとは別の問題があるが。現場発見後も混乱し続け、そして当時墜落現場として呼ばれていた”御巣鷹山”が一人歩きしてしまった。つまり「御巣鷹山は墜落現場ではない」というのだ。そもそもこのあたりには具体的な地名がなく事故現場と御巣鷹山は2.5kmも離れており、かつて、誤って登った人もいてその違いを指摘されたこともあるという。その初期の混乱が、現在まで影響していると言えなくもない。全体的な論調としては、この事故に関するさまざまな憶測や意見に対して「警察としての反論しておきたい!」という思いが随所に見られる。この本だけ見れば「日本の警察はさすがだ」と言いたくなるが、警察の不祥事が相次ぐ中、逆にあまりにすばらしすぎる感じもして、本書の中で批判されていた本も読んでみたくなった。
(2005/2/1) 【★★★☆☆】 −05/2/20更新


かもめが翔んだ日

江副 浩正/著
朝日新聞社

1,890円(税込)
 最近のリクルートといえば、R25とか、HOT Pepperといったフリーペーパー(無料情報誌)に力を入れているみたいで、街の至るところで見かけるようになった。一昔前、リクルートは、いわゆる「リクルート事件」でマスコミを騒がせたこともあって、いろいろな意味で知名度は抜群だ。でも、その知名度の割には、意外とこの会社の生い立ちは知られていないのではないだろうか?創業者であり事件の中心人物だった著者が、これまでの人生を振り返る。さまざまなリクルートの情報誌は、情報を検索しやすいようにインデックスをつけて分類しているという点で共通している。それがリクルートの原点であり強みでもあるが、それから外れる事業になると、なかなか苦戦することが多かったようだ。コンピュータ言語のフォートランの教育教材とテープのセットが在庫の山を作ったり、単行本の事業に乗り出したもののやはり在庫の山を作るなど、成功の陰にさまざまな失敗があった。本書の後半は、リクルート事件以降最大の苦境となった、関連会社であるリクルートコスモスの経営再建とファーストファイナンスの精算問題。いずれももともとの本業とは外れた分野だったことも興味深い。で、そこに救世主としてさっそうと現れるのが当時ダイエーの中内さんで、気前よく江副さんの持つリクルート株を買ってあげるのだ。まさかそのダイエー自体が大変なことになっていくとは、当時想像できなかっただろう。もし江副さんが事件で失脚しなかったら、今のリクルートはどんな姿になっていたことだろう。会話体が多く緊張感が生き生きと伝わってくる。テレビドラマ化してもおもしろいんじゃないだろうか。ちなみに今ではリクルートのロゴマークから、かもめがいなくなっているみたい。さっきリクルートのサイトを見て初めて知った。
(2005/2/1) 【★★★★★】 −05/2/20更新



廃用身

久坂部 羊/著
幻冬社

1,680円(税込)
 タイトルからして、何か深い闇がありそうな気がしてくる。「廃用身」とは、脳梗塞などの麻痺で自由がきかなくなり、リハビリしても回復できない手足のことを指す医学用語なのだそうだ。本の表紙を開くと、漆原糾という医師が「廃用身」という本を書いたという前提で話が進んでいく。まずはこの漆原糾氏が書いた「廃用身」という本を読むことになる。そしてさらに、この漆原糾氏に出版を勧めた矢倉俊太郎氏による、編集部註が続く。あたかもノンフィクションを読んでいるかのような錯覚だ。細かいところまでできていて、著者漆原糾・矢倉俊太郎という奥付も用意されている。介護の現場を考えたとき、廃用身の存在が非常に重荷であってそれを取り去ることが結果的にプラスに働くという著者漆原糾の意見と、現状から目を背け興味本位の報道ばかり目立つマスコミの伝え方、そしてなにより介護を要する人たち…本を読み進めていくと、それぞれの立場から「廃用身切断」という行為を見ていくことになり、そのたびに自分の考えも揺り動かされてしまいそうになる。衝撃のクライマックスまで一気に読んでしまった。あくまでもフィクションなのに、”現実の問題”として考えさせられる本書は、みんなに薦められるわけではないけれど、できるだけ多くの人に読んでもらいたい。
(2005/2/1) 【★★★★★】 −05/2/20更新



さわるな、危険! 家庭のバイ菌学   解剖学はおもしろい
ジャック・ブラウン/著
栗原 百代/訳
新潮社

1,365円(税込)
 ごく普通に日常生活を送る中で、いかにバイ菌に囲まれているかという事実を、これでもかと思い知らされる本。潔癖性気味の人には絶対に見せられないな…と思った。そもそも皮膚にはかなりの種類と数の微生物、菌が繁殖している…なんて知ったら、たとえその大部分が無害であるとわかってはいても、なんだか気持ち悪くなってくる。ただ現実を知ればそれによって対策もできるのだから、いいような悪いような…たとえば、サラダバーで二時間以上常温に放置されていたものは、バクテリアが増殖し始めるために、取り替えるべき…と言われても、自分ではどうしようもないこともあるし。知っているようで知らない菌(微生物)、バクテリア(細菌)、ウィルスのそれぞれの違いや、そもそも風邪やインフルエンザは、ウィルスの仕業によるものだから、気温と発病は無関係であるという話などは興味深い。
著者はアメリカ人で、翻訳本なのだが、とても読みやすい。また各章のおわりに、「まとめ」が書かれているので理解が深まる。まず(正しい)手洗いは大事で、いわゆるバイ菌に汚染されていそうなところには必要以上に接触しないこと、食べ物の保存状態をきちんと見極めることなど…いずれにしても、案外当たり前の基本的な行動が、バイ菌から身を守ることにつながるということのようだ。
(2005/2/1) 【★★★★☆】 −05/02/20更新
  上野 正彦/著
青春出版社

700円(税込)
 「死体は語る」で、監察医や解剖学という存在を身近にした著者が改めて人体のしくみを講義してくれる。長年の監察医としての経験を交えながらの講義は、実際に看護専門学校の講師も務めているだけあって、とてもわかりやすい。たとえば、骨格を説明するときは白骨事件、呼吸器系の説明には絞殺事件の例を引用して、しくみだけの話にとどまらない。どの臓器や器官もちゃんと理由があって存在し、機能しなくなれば身体にどのような影響が出るのかといった背景を知ることができるので、理解が深まるような気がする。同じように、もし一般の講師がこのような引用ばかりしていたら、変に疑われるようなこともあるかもしれない。著者が元監察医だったからこそできる講義だと思う。
(2005/2/1) 【★★★★☆】 −05/02/20更新


最新事情!全国鉄道おもしろ雑学事典   写真と地図で読む!帝都東京・地下の謎
川島令三/著
PHP研究所

1,365円(税込)
 おなじみ川島令三による最新刊…と思ってみたら、この本を読んだときにはすでにその後3冊も出版されていたので驚いた。川島氏の本にしては珍しく、Q&A形式でまとめられていている。鉄道ファンではなくて、ごく普通の毎日鉄道を利用している人も、意外と鉄道に関心があるというのが僕の実感。もちろん趣味的なところばかりではなく「京葉線の東京駅ってなんで乗り換えが不便なの?」とか「安全になるのならばみんなホームドアつければいいのに」という、僕自身も聞かれたことのあるような、利用者の立場で書かれている。一部、”結論ありき”というかこんな答えを書きたくて、質問を用意したみたいな部分もあるが、それでもわかりやすく書かれていると思った。まぁ「川島本」なので、独特の論調が見えてくるところがもう一つの見もの!?。Q&A形式だったはずなのに、Aの部分で持論を展開していったり、相変わらず「関東→×、関西→○」という部分など…(共感する部分はあるけど)。初めて知った話や最新の情報もあったりして、タイトル通りなかなかおもしろかった。
(2005/2/1) 【★★★★☆】 −05/02/20更新
  秋庭俊/編集
洋泉社
1,050円(税込)

著者や出版社にとってこのようなムック形式の書籍は「一粒で二度美味しい」存在なのかなと思わせることがある。確か「帝都東京・隠された地下網の秘密」という本でも読んだような気がする記事が多く、あまり目新しい感じがしなかった。都市計画というものは最初から最後まで一貫していることなど、まずあり得ない話だ。完成に至るまでに多くの紆余曲折があるわけで、その結果が現在の姿である。その経緯についてはどの程度一般の人が知ることになるのかはよくわからないが、よほどのことがない限り、知らされることはない。だからこそ興味深い題材なのに、本書の中途半端なツッコミを読むと溜息が出る。「国民の目から隠されてきた闇に眠る謎を解き明かす!」という表紙の言葉とは裏腹に、著者の疑問を投げかけるにとどまっているのは、前著とあまり変わっていない。知られざる地下スポットとして紹介されている場所も、別に隠しているわけでもないような気がするし、自分の常識の範疇で謎を作っているような気がしてならない。とりあえず、一点だけ僕でもすぐわかる回答を挙げておく。「大江戸線が幅の広い線路を選んだ謎」…大江戸線は従来の鉄道と異なり車両自体に回転するモーターを持たず、レールとレールの間に置かれたコイルを使って走行する。つまり幅の広い線路はその間にコイルを置く必要があったからに他ならない。小さいトンネルとレールの幅は関係がない。もうちょっと鉄道に詳しい人に聞いてから書けば良かったのに。
(店長オススメ度: ★★☆☆☆ /2003/12/14更新)


珍日本紀行   科学技術はなぜ失敗するのか
都築 響一/著
アスペクト

9,991円(税込)
  週刊誌「SPA!」で連載中のコーナーで紹介されたネタを一堂に集めた、日本の変わった風景ばかりの写真集。9,991円ととても高価。

 −にやけたオッサンと派手な女が田舎道を歩いている。向こうのほうで草むらにかがみ込んでいる作務衣の男一名。女が突然手を振ったかと思うと叫ぶ。「こんにちわ〜、なにやってるんですかぁ〜」男は驚きもせず振り返って「いやー、山菜を採って天ぷらにするんですよ。食べに来ませんか」とか堪えてカメラ目線で笑う。ふざけんじゃねぇよ。いきなり声かけられて、へらへら笑って家に招くほど田舎の人間はお人好しか。−
(前書きより)

 まさに今の旅番組やガイドは、こんな感じの繰り返し。伝える方もそれを受け止める側も、ある種の「お約束」というか「暗黙の了解」が成立している。極論すれば「やらせ」が正当化されている珍しい分野かもしれない。でも「それでいいのか?」と思う人は、決して少数ではあるまい。先述の”お約束”や、誰もが認める観光地ばかりが観光じゃないし、正しい日本の姿を伝えていない。こうした日の当たる部分ばかり見せつけられていると、逆に日の当たらない陰の部分に関心が出てくる人が出てきても不思議でもない。
 インターネットやデジタルカメラの普及に伴って、こうした変わった風景を追い求める人が僕を含めて増えてきたと思う。
 撮影の対象は日本全国だが、意識的か結果的なのかわからないが、東京、埼玉、神奈川にはなぜか一件もない。


(2005/2/1) 【★★★★☆】 −05/02/20更新
  中野 不二男/著
中央公論新社

840円(税込)
 もちろん、なにごとにも、成功があってその裏にはたくさんの失敗がある。その失敗がなければ成功しないなんてことは、誰もがよく知っている。けれど、2002年2月4日のH-2Aロケットの”打ち上げ成功”のニュースは、そうした失敗を認めないという雰囲気がどこか漂っていた。本来の打ち上げ目的以外で空いたスペースを、他の衛星を乗せる”便乗衛星”が正常に機能しなかった点だけをことさら大きく取り上げていたのだ。これでは問題点がぼやけてしまう。「ヒト型ロボットの開発では日本が世界のトップを独走している」という話はよく聞く。確かに、二足足のロボットが軽やかに歩いたり、踊ったりする姿をたびたび見かける。しかし、これらのロボットは決して自分の意思で動いているわけではなく、作業者のコントローラに忠実に従って動いているに過ぎないのだ。ちゃんと指示通り動けるロボット技術は確かにすごいかもしれない。けれど、それができるからといって、これが完成されたロボットの姿だと誤解されるようなマスコミの報道には、考え直してもらいたいという著者の考えには同感だ。研究で生まれてきた技術が世の中の役に立ち、広まっていくことが目的であって、「阿波踊りが踊れるロボット」が世の中に広まることではない。変に卑下する必要はないけれど、日本は何かと「世界の最先端」にいるという前提で報道されてしまうことは、以前から問題があると思っていた。進んでいるものは進んでいるし、ダメなものはダメだし、まだまだこれからの技術であれば、それはそれできちんと報道するべきで、そうしたメリハリのついた正確な報道が科学離れを防ぐ一助になるんじゃないかと思う。
(2005/2/1) 【★★★☆☆】 −05/02/20更新


なぜ安アパートに住んでポルシェに乗るのか   テレビ―「やらせ」と「情報操作」
辰巳 渚/著
光文社

1,000円(税込)
 「物を買うという行為」の理由は、それこそ多種多様で、一言で答えられるようなものではない。けれど、景気低迷が長引いていると、とかく「人々が物を買わなくなったからだ」→「もっと消費を増やすべきだ」という話を聞く。どうすれば人は物を買うのかという理由がものすごくたくさんあるのに「もっと物を買え」という論理を推し進めていくのは、かなり難しいことなんじゃないかと思う。「物を買う理由」をさまざまな視点から考察したのが、この本。で、この本は、再生紙でできたペーパーバックの形態を取っていて、本文は、なぜか英単語がいたるところに混じっている。たとえば「ボーナスの額が減ったらショックを受ける have a shock のは、当然のことです。」「気持ちは防衛 defensive に向かってしまう。」「税金 tax が増えるのではないか。」みたいに。本書の見出しではその記載方法に対して「日本語は世界でも類を見ない3重表記(ひらがな、カタカナ、漢字)なので、英語も含めて4重表記にしてみた」と書いているが、なんだかとても見づらい。英単語の勉強にはいいかもしれないが、読んでいるといちいち引っかかってしまって、余計なところに神経を使うような気がしてしまう。本書は、内容としては悪くないと思うが、形態がいまいちって感じ。
(2005/2/1) 【★★☆☆☆】 −05/02/20更新
  渡辺 武達/著
三省堂

1,680円(税込)
 テレビのいわゆる「やらせ」は、相変わらず起きている。そのたびに、テレビ局は反省を誓うが、あまり時間をおかずして、ふたたび起きてしまう。やらせが判明した分だけでも結構あるのに、見えないところでのやらせは、それこそ無数にあるのではないだろうか?テレビも含めて、なぜメディアは同じことを繰り返すのか?構造的に何か原因があるのではないか?メディアに多く関わってきた著者が自身の経験も合わせて、わかりやすく紹介している。また最近は、NHKにまつわる一連の騒動や、ライブドアのニッポン放送買収の動きなど、ニュースや情報を伝える側自体が、話題の中心になることが少なくない。そうした状況下では「情報操作」という問題にも気をつけてみておく必要がある。漫然とメディアからの情報を受け取るのではなく、たまには冷静にメディアの側の事情を考えてみることはとても有意義だろう。これまでのやらせ、情報操作の実例、CM製作にはどんな形で人々が関わりどれくらいのお金が動くのか、そして視聴率偏重の裏側といった話など、とても興味深い。他にも、自称「霊能者」たちの霊視や占い、科学的ではないことをあたかも真実のように扱うこと自体が、放送基準に違反しているという、今の番組内容からは想像もつかないようなきまりが存在していることなども紹介されている。そういえば、血液型を取り扱う番組が放送基準に抵触しているのではないかという指摘があったが、その後もこういった番組がなくなっていないところを見ると、事実上無視されている状態だ。結局こういった番組が減らず、放送基準が無視されている背景には、視聴率が稼げる(=たくさんの人々が見る=支持する)からであり、やはり見る側の姿勢が問われてきてしまう。そうなってくると、いっそのことテレビなんか見ない方がいいのかもしれない…なんて強がり言ってみたり。でも最近はあまり見なくなったな。
(2005/2/1) 【★★★☆☆】 −05/02/20更新


Google―
 
なぜグーグルは創業6年で世界企業になったのか
  取調室の心理学
嶋田 淑之/著
中村 元一
/著
毎日コミュニケーションズ

1,680円(税込)
  タイトルどおりの内容を期待しながら読んでいくと、途中で「ちょっと違うなぁ」と思えてくる。いたるところで、真っ昼間から映画三昧とか、ジャンクフードが食べ放題みたいな、あまり現実に「応用できなさそうな楽しい話」がたくさん出てくる。確かにこういったこともグーグルの一面を表しているのかもしれないけれど、でも、そういった「余裕」は、いまの業績が良好だからこそできるんじゃないの?と皮肉っぽく思えてきてしまう。
 むしろこれまではそうやって成功してきたけれど、今後はどうなっていくのか?という方が、むしろ関心がある。これまでの成功は、他に誰も手掛けていなかった分野であり、それに特化してきたからこそ成しえたものであり、ぜひこのあたりも触れて欲しかった。
 グーグルという新しい企業を取り上げているが、内容は大学で学ぶような経営学のおさらいみたいな感じで、あまり新鮮みが感じられなかった。
(2005/2/1) 【★★☆☆☆】 −05/02/20更新
  浜田 寿美男/著
平凡社

735円(税込)
 凶悪事件が起きたらできるだけ早く犯人が逮捕されて欲しいと思うのは、事件の当事者ばかりではなくその事件をニュースなどで知った一般の人々も同じだ。容疑者として身柄が拘束され、その容疑者が自白してくれれば、事件解決の第一歩だ…と思うのは、当然のことだ。でも、その容疑者が実は犯人ではなく事件とは無関係だとしたら、どうだろうか?「逮捕されるくらいだから疑われるようなことをしているんじゃないの?」なんて、無責任に考えてしまうこともあるかもしれない。けれど、ここで紹介されている事例は、ほとんどが全くの無実としか思えないような事件ばかりで、もしその事件の当事者だったら…と考えると背筋が寒くなるような気がした。一度犯人と決めつけられてしまうと、証拠すら捏造され、しかも最後の砦である裁判官までもが、そういった事実に気付かないケースがあまりにも多いということにも驚かされた。タイトルは「心理学」となっているが、この言葉から受けるアカデミックな部分はあまりなくて、現実的な「現場」での話が中心となる。まもなく日本でも裁判員制度がスタートするが、少しでも冤罪をなくすきっかけとなって欲しい。
(2005/2/1) 【★★★★☆】 −05/02/20更新