梅原 淳/著
東京堂出版
1,680円(税込)
タイトル通り、鉄道のうち駅名や路線名にこだわって様々な謎や不思議に答えている。章立てを見ても「駅名の不思議」、「駅の不思議」、「路線名の不思議」、「路線の不思議」という感じで徹底的。似たような本は、たくさんあるが、それらの本と違うのは、ものすごく「一覧表」が多い。それだけ豊富なデータに裏打ちされているとと言える。路線名の由来を分類した表は、実に26ページにも渡って記載されている。その分写真は多い方ではないので、そういう点でも軽く読み流すというより、じっくり研究するといった感じだ。当たり前のように「東京駅」という駅があるが、そもそもなぜどこでも東京なのに、あの駅に「東京」と名付けられたのか?とか、あまりこれまでの本で紹介されていなかった、「尼崎センタープール前」という阪神電鉄の駅名のセンタープールとは、一般的な泳ぐためのプールのことではなくて、競艇の業界内で使われる専門用語に近い意味なんていうのも、とても興味深い。また時間のあるときに改めて読み返してみたくなる本だ。
(2005/1/8) 【★★★☆☆】 −05/1/8更新
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佐藤信之/著
グランプリ出版
2,310円(税込)
多少鉄道に詳しい人であればなんてことないことだろうが、ごく当たり前に存在する地下鉄の路線が決定し着工するまでは、もの大変な紆余曲折がある。それは自治体を巻き込んだ関係者の思惑が複雑に絡んでいるからで、非常に”泥臭い部分”である。また着工し竣工してからも、想定とは違った結果にふたたび右往左往することもある。そんな文字通り地下鉄の歴史を首都圏、中部(名古屋圏)、近畿圏で年代別に俯瞰して振り返っていくのがこの本の目的である。建設当時の珍しい写真や、今では想像もできないような計画や構想といったエピソードなど鉄道にかなり造詣の深い人でも必ずや発見や驚きがあると思う。近年作られる地下鉄の多くが第三セクター方式で、いずれも厳しい経営状況が続いている。川崎縦貫高速鉄道が例として挙げられているが、川崎市民一万人アンケートで、予定通り建設すべきがわずか16%弱にとどまるなど、これまで地下鉄は例外なく必要とされ、次々と作られていたが、そろそろきちんと見極めていく時期にきているのかもしれない。第三セクターの場合、最終的な負担は、当然税金によってまかなわれることになるのだから。
(2005/1/8) 【★★★☆☆】 −05/1/8更新
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