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西武安比奈線を歩く
2010年1月2日。箱根駅伝で母校の往路優勝を見届けたあと、ふと西武安比奈線を探索したくなって、自宅からママチャリに乗ってやって来た。 1997年5月に来て以来なので、12年半ぶりだ。 前回の記憶を少しずつたどりながら、3kmあまりの貨物線の散策を開始。 まずは、西武新宿線南大塚駅へ。 プラットホームの脇に安比奈線の、0キロポストを確認。 ここには、ちゃんとレールと架線が張ってあり、ここが廃線跡の起点だという感じがしない。西武新宿線はまっすぐ本川越駅方向に向かう一方で、安比奈線は大きく左側にカーブしていく。 南大塚駅を出た直後で、レールも架線も途切れてしまう。 架線が張られていないから空が広い。レールもないから、ただの空き地にも見える。 少し先に進むと、ふたたび架線とレールが出現し、貨物線跡らしい雰囲気になる。 マンションや住宅、駐車場の間をすり抜けて、線路は延びていく。 国道16号線と交差。レールと架線は完全に途切れてしまう。歩道部分はレールがかろうじて残っていたが、車道部分は埋められてレールの痕跡すら見えない。 道路の反対側には、架線柱とレールが見える。 国道16号線の前後は、空間に余裕がある感じ。 安比奈線と並行して通る道路がないため、ジグザグに線路をたどっていく。 住宅地を抜けると、視界がひらけて畑が一面に広がる。短い鉄橋は用水路を越えていた。 やはりまっすぐには進めないので、用水路に沿った畑のあぜ道を歩いて、線路に向かう。 2つめの鉄橋。十数年前と同じ光景に出くわす。雰囲気はほとんど変わっていないようだ。以前と同じ写真を撮ろうと思ったが、逆光なのでうまく写真が撮れなかった。 線路の反対側に回る。 用水路を越えるには幅が広いものの浅い。逆さにしたバケツが2個置いてあって、反対側に渡れるようになっていた。用水路を慎重に越えると、きちんとした階段があって、線路の上がれた。 線路は、ひたすらまっすぐに進む。 ある個人宅に向かう道路は、まるで線路の存在を全く無視する感じ。 畑を越えると、線路は、森の中に突っ込んでいっていた。 廃線跡らしい物悲しい雰囲気。
森を抜けると、車の往来の激しい道路と交差。 そこを渡ると、なにやら看板が… 昨年放送された朝の連続テレビ小説「つばさ」のロケで使われていた場所であることを示す看板だった。 安比奈線の大部分は立ち入り禁止になっているが、唯一ここだけは、大手を振って歩くことができるようになっている。 線路から外れると、マムシがいるらしい。 ロケで使われたトロッコが残されていたが、レールに固定され動かないようになっていた。 公開されている長さはわずかで、その先は柵がされて行けないようだ。線路の先には道路が立ちはだかっていた。道路の反対側に回る。 道路の反対側は、入間川の河川敷だった。ふたたび線路が復活。 いままで、レール幅はある程度揃っていたが、ここへ来て極端に折れ曲がり、一層荒れ具合がひどくなった感が出てきた。 すぐとなりでは、オフロードバイクの練習場になっていて、線路の一部がコースに飲み込まれそうになっていた。 これまで単線のレールが続いていたが、ここへ来て初めて、ポイントが出現し、線路が二手に分かれていた。安比奈駅の入口だろう。ポイントの転轍機(切替機)が無惨に転がっていた。 幅の広い架線柱が、かつてここに何本モノレールがあったということを物語っていた。 太陽が傾き始め、西日が強くなったため、写真を撮ると全て逆光になってしまうため、写真を撮る位置に気を付ける必要があった。 入間川の砂利を採取するために作られたという、西武安比奈線。まさに、この広い河川敷に安比奈駅があったと思われる。駅を思わせる遺構は、はっきりとした形で残っているものが少なく、あったとしても、なんの目的で使われていたのかはよくわからなかった。 目立つのはやはり架線柱だ。しかしそれも、蔦が絡まり、架線柱の上には大きなカラスが睨みを利かせていた。 付近は荒れ放題で不法投棄のゴミであふれかえっているところや、工事のために厚い土砂で覆われている場所もあった。 末端まで行きたかったが、どこまで線路が延びているのかはいまいちわからなかった。倒れかかった架線柱の存在で、なんとかここに線路があったんだということがわかる程度。すぐ右側には、入間川の水面が見えた。 西武安比奈線は、正確には廃線ではなく休止線という扱いなので、必然的にレールや架線柱は残りやすいのかもしれない。それでも、ほとんど放置状態に近いため、徐々にその姿を変えつつある気がする。ぶらりと散策できるので、興味がある人はぜひ自分の足で歩いてみて欲しい。 感想等、なにかありましたら、こちらへ |
取材 2010/1/2 作成 2010/1/3 |