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鉄道

廃線跡を歩く!


 ちょっとしたローカル線の旅に出かけた。
 決して列車の走ることのないローカル線の旅…

 西武新宿線の終点である本川越駅からひと駅、南大塚から、そのローカル線が出ている。その名を西武安比奈線と言う。読み方は、そのまま「あひな」とか「あいな」とか読むらしいが正確なものはわからない。少し古い地図には、この路線が必ず掲載されている。一体この路線はどうなっているのか、現地を取材した。

 
左・南大塚駅から分岐する安比奈線 / 右・住宅地に入り込む安比奈線

 安比奈線は確かに南大塚から分岐し、レールもあり、しかも架線が張ってある。


 線路は、西武新宿線から大きく左に曲がり、平行して走る国道16号線を横断する。ただ、国道16号線には踏切を警告する表示がなく(列車が走らないのだから当然だが)、どの車もまったくスピードを落とすことなく走り抜けていく。
 そして線路は住宅地の中を進んでいった。


線路は続くよ、どこまでも。

 軒先を通る線路は、通路、散歩道として、家庭菜園として、荷物置き場として利用されていた。
 線路は引かれたままだし、頭上には通電(電気が通っていない)していないとはいえ、架線も引かれたままということを考えると、ちょっと不思議な感じがする。もともと線路には一般的に「入ってはいけないところ」という認識がある。しかし、ここではその認識が相容れない世界なのだ。


  
柵さえなければ、いつ列車が来ても不思議ではない雰囲気…

 けれど、鉄橋の枕木は腐り、歩いてわたるのを躊躇わせた…

 住宅地が終わり、次第に田畑が広がり始め、線路は、林の中へ…


あっ…立入禁止だったらしい。
そんなこといわれても、あとの祭りだ。
このページの見出しの写真はここで撮影。




 周囲から忘れ去られたかのように、そして時代から取り残されたように、田園風景の中を線路は続く。周囲にはこれといって目立つものがない。

 線路は入間川の土手を越え、更に進んでいった。



ここまで巨大な鯉のぼりをあげられるとは…

都会では見られない風景だろう。奥の2階建ての建物と比べるとその大きさが実感できよう。

 
入間川の岸辺で線路は途切れた

 急に単線だった線路が広くなり、架線柱も大きなものになり、ここに以前は大きな施設があったことを思わせる。しかし周囲は、草に覆われそのどのような施設が埋もれているのかは、想像の域を脱しない。
 台風の影響か、長年放置されていたせいか、架線中が折れ曲がっているものもあり、なぜかもの悲しい感じだった。
 その雰囲気に誘われてか?、四輪駆動車が砂ほこりを立てながら走り去り、入間川の対岸からは、子供たちの明るい声が聞こえてきた。



西武安比奈線

 南大塚−安比奈間 3.2kmの貨物専用線。西武鉄道ではわずかに2ヶ所となった貨物駅(もうひとつは、西武秩父線東横瀬駅)。大正11年、入間川からの砂利を採取するために作られ、昭和24年に電化。昭和38年に営業中止。
 安比奈線そして安比奈駅は現在使用されておらず、列車の走行も不可能だが、届出上は、現在でも貨物専用駅として登録されている。このページでは「廃線跡」と記しているが、実際は、休止状態と呼ぶ方がいいのかも知れない。

 将来、この安比奈線を利用して、西武新宿線用の車両基地が建設される予定があったが、新宿線の利用者数が予定より伸び悩み、西武新宿線の線増(複々線化)が中止されたのに伴い、現在この計画は頓挫している。実際に復活させるためには、国道16号線との交差や周囲の状況などを考えると難しそう。

参考文献: 西武鉄道株式会社総務部広報課編「会社要覧」
川島令三「どうなる新線鉄道計画 東日本編」
このページで使用している地図は、インクリメントP株式会社「MapFanVer1.0」を使用しています


1997.5.4