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4月2004年5月6月
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2004年5月

ビジネス特急<こだま>を走らせた男たち

福原 俊一/著
JTB
1,890円(税込)
 ビジネス特急「こだま」といっても新幹線のことではなく、新幹線の開通のする数年前に登場した、日本初(もしかすると世界初かもしれない)の長距離電車特急のこと。鉄道に関心のある人でないと、この存在は忘れられてしまっているような気がする。ビジネス特急「こだま」は東京-大阪間を7時間30分を6時間50分(のちに6時間30分)に短縮したに過ぎないのに対して、新幹線はその6時間30分だったものを半分以下の3時間10分(当初は4時間)にした。数字を見ると新幹線の方が偉大な功績なのではないか?という問いに対して、機関車牽引列車全盛時代において、電車列車による長距離運転でかつ狭軌で時速100kmを超えるシステムを0から作り上げたという実績と技術的な積み重ねがあったからこそ今の新幹線があるのだという筆者の言葉は、ビジネス特急「こだま」の偉大さを感じさせる。とかく新幹線ばかりが注目されがちだが、0を1にした実績があってこそ、1を100にする見通しが立つというのだ。
 列車の今の速度を表示するメーターや、列車の走行地点を指し示す表示器(単純に時計やタイマーのように示していただけだったが定時で走るのだから問題なし)や、客室とデッキを仕切る扉が自動ドアになったのも、こだま型電車で初めて登場。1960年(昭和35年)8月から列車電話サービスもこだま形電車が最初だった。ちなみに、その列車電話サービスも携帯電話の普及に伴い、今年2004年6月をもって終了するという。 (2004/5/9) 【★★★★★】 −04/05/09更新


奪還―引き裂かれた二十四年

蓮池 透/著
新潮社

1,365円(税込)
 2002年10月15日。北朝鮮拉致被害者が帰国した記念すべき日。この日を迎えるまでの戦いと苦悩を拉致被害者家族の立場で赤裸々に語った本。以前、著者の考え方や発言がちょっと強硬すぎるんじゃないかと思ったこともあったが、彼らの境遇を考えたらそう思って当然だと、この本を読んで改めて思った。もし家族が北朝鮮に拉致されることがなかったら、まったく違った人生を歩むことになるわけだし、彼らだって、当然、好きでこんな活動をしている訳じゃない。ごくごく普通に生活してきた人が、ある日突然、何の手がかりもなく姿を消してしまうのだ。そして国内で多数起きている失踪事件のひとつとして、徐々に人々の記憶からも消え去っていく。家族は必死に手がかりを探そうと走り回る。そして、家族の帰国…つまり奪還までの道のりは、無理解との戦いだったようだ。それだけならまだしも、協力しようと見せかけて、結果的にこの問題を利用しようとする者まで現れるのだから、その苦労は察してあまりある。2004年5月、拉致被害者のこどもたちが日本にやってきた。もちろんこれだけでこの問題が終わったわけではない。さらに大勢の拉致被害に遭っていると思われる人たちの調査が終わっていないのだ。まさにこの問題は続いている。こうした拉致被害者とその家族の叫びを、もっと政治家、役人、そして国民が考えていくべきだと思う。 (2004/5/28) 【★★★★☆】 −04/05/28更新


世界はこうしてだまされた   車掌の本音―JRに本日も乗車中
高倉 克祐/著
悠飛社
1,020円(税込)
 宇宙は幼いときから関心の高いテーマだった。最近ではあまり接する機会はないけれど、以前は天体望遠鏡で月や惑星などを眺めていたものだ。ただUFOネタは怖くて見ていられなかった。矢追純一の番組で、CMに入るときに流れる曲が今でも頭からついて離れない。その後、僕も成長して、どうもこういった番組の不可解さが気に掛かるようになってきた。というのも、こんな広い宇宙の中で、どうしてわざわざ宇宙人たちは地球にやってくるのだろうましてや、地球を攻めてどうする気だろう…って。本書では、UFO神話の根拠となった事例に対して、ひとつひとつその”誤解”を解いていく。UFOがいると信じている人に読んでもらいたい。(2004/5/8) 【★★★★☆】 −04/05/08更新
  斎藤 典雄/著
アストラ
1,575円(税込)
 「車掌」という部分ばかりではなく、会社員として、組合員ととして、父親として…の赤裸々な毎日が書かれている。この本はどうやら「JRの秘密」という本の続編に相当するみたいで、もしかするとそちらを先に読んでからの方がおもしろいのかもしれない。中盤で国労の話が出てきて大きな部分を占める。労働組合に所属したことがないので、”闘争”という感覚は、やはりわからない。今の生活を考えたら組合の活動のための時間なんて絶対に取れないと思う。話がずれたが、車掌という仕事をとても楽しんでやっている(ように見える)筆者を少しうらやましく思った。(2004/5/5) 【★★★★☆】 −04/05/05更新


交通事故のミステリー   目からウロコの幕末維新
江守一郎/著
朝日新聞社
588円(税込)
 700件近い交通事故の鑑定を行ってきた第一人者のドキュメンタリー。事件に関係した人のほんのわずかなきっかけから、現場に残された証拠を元に、次々と真実が明らかになっていく。物理的な見地からの考察などもあるので、若干難しい部分もあるけれど、丁寧に書かれているので、この手の本にしてはわかりやすい。ただ、あまりにあり得そうな事故の数々に、改めて交通事故は気をつけようと思った。また、本当にここに紹介されているような事件は実は氷山の一角で、多くの事故は見過ごされているのではないかと不安になってくる。現在は文庫本となっているようで、実際に図書館から借りて読んだのは単行本でこちらはおそらく絶版。読み始めたのが返却期限が過ぎていたときだったので、あわてて読まざるをえなかったのが悔やまれる。(2004/5/8) 【★★★☆☆】 −04/05/08更新
 

常石 敬一/著
PHPエディターズグループ
1,418円(税込)
 新選組のファンは少なくないから、このあたりの時代については知られていることは多いと思うが、僕はあまり詳しくないので、この本で文字通り目からウロコの話をたくさん読ませてもらった。「日本はアメリカに不平等条約を押しつけられた」と学校で習ったが、その背景を知ると、押しつけられたとは言い難い面もあることがわかる。徳川慶喜がいとも簡単に政権を手放し大政奉還を行った背景には慶喜の誤算があったからではないかとか、旧幕府軍により、箱館(函館)を本拠地として樹立された新政権の閣僚の中に、ペリー来航の際幕府代表として応対した人物が含まれていたなんていうのも、歴史の皮肉というか運命というか不思議なものを感じずにはいられない。学校で習った”常識”を変える話がいっぱい。
(2004/5/8) 【★★★☆☆】 −04/05/08更新



「売る広告」への挑戦   宇宙ロケットなるほど読本
レスター・ワンダーマン/著
松島恵之/翻訳監修

電通
2,940円(税込)
 会社から支給された本。書かれた内容を応用すればビジネスに結びついて、それが儲けにつながるから?なのか、2940円と、これまでここで紹介してきた本の中で最も高い。しかも、なぜかAmazonで売っていないところも不思議。「ダイレクトマーケティングの父」というサブタイトルがつけられているように、通販やダイレクトメールといった手法を憶測ではなく、彼自身の手によって発見されていく過程は、さながら小説みたいだ。少々古い話もあるが、今でも十分通用する。雑誌の非効率な場所の広告を活用して、綴じ込みはがきを作ってみたり、新聞に仮想店舗を作ってみたりするところなどは、今でも十分に通用する。ダイレクトマーケティングに携わる人たちは必読でしょう。こちらで彼の足跡や言葉などを紹介している。
 ただ外国人の名前になれていないせいか誰が誰だかわからなくなってしまうのがちょっとつらいな。(2004/5/8) 【★★☆☆☆】 −04/05/08更新
  阿施 光南/著
山海堂 (2003/11)
1,575円(税込)
 スペースシャトル「コロンビア号」の空中爆発事故以降、有人宇宙開発は停滞してしまっているのは、やむを得ないこととはいえ残念なことだ。宇宙ロケット…特に有人宇宙開発に関わるあらゆる話を網羅した本。ロケットの仕組みからその歴史、宇宙開発におけるアメリカ初の死亡事故となってしまったアポロ1号は、実はアポロ3号だった…とか、旧ソ連のアメリカに負けじと大慌てで月をめざすさまなど、こぼれ話なども載っている。そもそも人はなぜ宇宙をめざすのかというところは、考えさせられた。昨年は火星に無人探査機が訪れて大きな成果を上げたが、有人の探査計画はひとつもなかった。それでも大きな成果を上げている。もちろん安上がりにだ。そうなると、それでもなぜ高い代償を払ってまで、人間による宇宙開発を必要としているのか?…筆者はそれを単純に「夢」しかないと言い切っている。うーん。いさぎいい!こういった夢に対して「国家の威信ではなくローンを背負って宇宙を飛ぼう」という言葉でまとめているが、これが現実!?
(2004/5/16) 【★★★☆☆】 −04/05/16更新

ニュースステーション政治記者奮闘記   月の神秘
三反園 訓/著
ダイヤモンド社 (2003/12)
1,365円(税込)
 現在は「報道ステーション」という番組をやっているが、夜のテレビ番組に、ドラマやバラエティではなく「ニュース」というジャンルを持ち込んだのは、その前身である「ニュースステーション」が先駆けであったことは言うまでもない。もちろんキャスターの力による部分は大きいが、それを支える記者の働きがあってこそ、キャスターも力を発揮できるわけで、ニュースステーションで、国会記者会館から毎晩のように中継をしていた記者の記録である。本書にも書かれているがいつ家に帰っているのだろうと思うくらい、取材と中継のしっぱなしの毎日でその苦労がしのばれる。その一方で「事件は現場で起きている」じゃないけど、現場にいることの臨場感もあって楽しさもあるだろう。まぁそうでなきゃ「やってられない」とは思うけど。それにしても大変な仕事。当たり前だけど絶対僕にはできない…。今はなき「ニュースステーション」ばかりでなく政局の裏話まで、今だから言えるような話がいっぱいだ。とっても、おもしろい。
(2004/5/16) 【★★★★☆】 −04/05/16更新
  野本 陽代/著
PHP研究所 (1999/04)
1,785円(税込)
 見慣れちゃってるような気もするし、むしろ当たり前すぎて無視してしまってるような天体である「月」。そんな月にスポットを当てて、古今東西の神話や文学に登場する月の話から、月の科学調査まで月にまつわるあらゆる話をまとめた本。月の話というと、アポロ計画ばかりが注目されてしまうが、本書ではアポロ計画はもちろん、ロケットの開発やその後の研究成果まで取り上げている。
 1969年アポロ11号が初の有人による月面着陸を果たし、その後続くアポロ計画が打ち切られた1972年以降、人類は月を訪れていない。しかもせっかく置いてきた観測機器も、経費節減ということで1977年に運用を停止されてしまうなど、どうもアポロ以降の人類と月の関係は良くないような気がする。そんな状態だから、月については実はまだ知られていないことばかりで、そもそも月がどうして誕生したかなどという基本的なこともまだ意見が分かれている状態らしい。
 改めて、月を見直すいいきっかけになりそうな本。
(2004/5/16) 【★★★☆☆】 −04/05/16更新