8342 酒税改正と「第3のビール」という時代

ビジネス・経済

今日から10月。

2026年の下半期が始まるということで、世の中でも色々と変化があるようだ。

こんな紙が…
こんな紙が…

昨日、コンビニでこのような張り紙を見かけた。おそらくコンビニの陳列棚に掲示するためのものだろう。

自分自身はお酒を一切飲まないため、このアルコールに関連する税制の変化が直接生活に影響することは特にない。しかし、この一連の動きを見ていると、いろいろと思うところがある。

振り返れば、高い税率が課されるビールに対して、少しでも税金を抑えるために、各メーカーは涙ぐましい努力を重ねてきた。ビールと同じような味わいを再現しつつ、酒税法上の区分を巧みに避けて開発されたのが「発泡酒」や「第三のビール」といったジャンルである。材料や製法に工夫を凝らし、本来のビールに近づけようと各社がしのぎを削ってきた。

これは見方を変えれば、税金を取り立てたい国と、少しでもコストや価格を抑えたいメーカー、そして消費者の間での戦いでもある。ただ、その構造はかなりいびつであり、開発や研究にかけるリソースの使い道としては、どこかもどかしさや無駄遣いのような側面も感じられる。もしこうした不自然な税の歪みがなければ、ビール各社の研究開発費は、余計なカテゴリーの模倣ではなく、ビール本来の美味しさの追求や多様な製法にそのまま振り向けられたはずだ。

しかも、この「酒税の壁を突破するための工夫」というのは日本国内の制度に特化した話であり、海外市場においては全く意味を持たない、非常に内輪で狭い枠組みでの努力にすぎない。紆余曲折を経て、今回の10月1日からの酒税改正で税率が一本化に向かうことになった。

ビール化をアピール
ビール化をアピール

これによりメーカー側も、これまで第3のビールなどに割いてきたリソースを本格的なビールに集中させることができるようになる。実際、これまで第3のビールとして売られていた各社の主力商品が、次々とビールへの切り替えを進めている。

記憶の彼方ではあるが、かつて日本酒にも「1級酒」や「2級酒」といった等級の分類が存在し、あれも結局は税金の等級による違いだったと記憶している。それと同じように、「第3のビール」という表現やカテゴリーも、これからは過去のものとして消えていくことになる。

何年か先になれば、「第3のビールなんて知らない」という若い世代がどんどん出てきて、こうした時代背景を知っているかどうかが、世代間ギャップを感じるちょっとしたバロメーターになるのかもしれない。何年ものあいだ、日本の酒税政策のあだ花のようにして親しまれ、議論されてきた「第3のビール」という存在は、これから先、日本の酒造りの歴史においてどのように語り継がれていくのだろうか。

Posted by ろん