8340 消えゆく年間パスポート

博物館・展覧会

こんな案内が…
こんな案内が…

太田記念美術館から、突然1通の封書が届いた。
なんだろうと思って開けてみると、年間パスポートのサービスを終了するという内容だった。

ここ最近、こうした年間パスポートやメンバーズカードといった制度が、相次いで終了している。
これまでよく通っていた美術館の年間パスポートやメンバーズカードなどを利用して、頻繁に鑑賞させてもらっていたが、ここ1、2年の間に、次々と利用環境が悪化したりサービスが終了したりしている。具体的な状況は以下の通りだ。

東京都庭園美術館:年間パスポートが実質的な値上げのうえ抽選制に。しかも同伴者特典がなくなったため、抽選に外れた同伴者は通常料金で行くしかない。

東京国立近代美術館:とても便利に活用してきた賛助会員制度が2025年11月30日で終了。新しい制度では国立西洋美術館の常設展には入れなくなる。

サントリー美術館:メンバーズクラブが2027年8月末で終了。後継の制度もない。

そして、今回のお知らせが加わる。

太田記念美術館:年間パスポート(会員制度)は2027年度以降の募集を停止し、サントリー美術館同様後継制度の予定はなく廃止のみ。

このタイミングは、まるで他の美術館とも口合わせをしたかのような変化を感じさせる。そもそもこうした年間パスポートやメンバーズクラブといったサービスは、美術館の直接的な売り上げのためというよりも、展示作品や美術品などの普及といった社会貢献的な側面が強いものだと思っていた。

来場者が少なくてお客様の足が遠のいていたとしても、少しでも売り上げを伸ばし、来場者を増やし、常連に足を運んでもらうという目的であれば、そうした制度を設ける理由も分かる。しかし、それはあくまで一つの見方にすぎず、やはり本来の目的は常連へのサービスや還元に重きが置かれていたはずだ。それが維持できなくなっている現状は、どの美術館でも共通して起きており、いかに世の中の構造が変化し、そうしたサービスを許さない状況になっているかを物語っている。

背に腹は変えられないという運営上の危機感からなのか、それとも常連よりも一見客やあまり足を運ばない層に来てもらう方が得策となり、わざわざ常連を優遇する必要がなくなってしまったということなのだろうか。

これまで多くの美術館でフリーパスのように利用させてもらったおかげで、もしこうした年間パスポートがなければ、決して足を運ばなかったような展覧会もたくさん見てきた。それによって見聞が広がり、大変充実した時間を過ごすことができた。

しかし、今後はそうした出会いが難しくなっていく。こうした状況は、社会や国民、そして利用者にとってプラスになるとは言い難い。何が悪く、どうしてこうなってしまったのか。

さまざまな原因が複雑に絡み合った結果なのだろうが、どこか根本的な、非常に重要なところで社会の仕組みが変わりつつあるように思えてならない。

Posted by ろん