8331 ラジオ特番で思い出した母の存在

昨日に続いて、今日もすっきりしない天気が続いている。大型の台風が接近していることもあり、こんな日は外へ出かける気にもなれず、室内で部屋の片付けなどをしながら過ごした。
ふと思い立ってラジオをつけてみると、TBSラジオで開局75周年を記念した特別番組が放送されていた。
かつて朝や夕方の看板番組だった「大沢悠里のゆうゆうワイド」や「荒川強啓 デイ・キャッチ!」が限定で復活しており、思わず耳を傾ける。特に「ゆうゆうワイド」は、過去の録音などをYouTubeで聴くこともあったのだが、やはり生放送のリアルタイムで聴くと独特の味わいがある。御年85歳の大沢悠里の語り口は、今なお驚くほどお元気だ。
今回の特番の中で特に興味深かったのは、2021年に亡くなった名ナレーター・若山弦蔵氏の声をAIで復元するという特別企画だった。
ラジオから流れてきたのは、ほんのわずかな時間ではあったが、あの大変に懐かしい低音の響きだった。
今年は11年ぶりの5連休となりました。シルバーウィークの中盤いかがお過ごしでいらっしゃいますか? 若山弦蔵です。えー昨日は彼岸の入り、そして金曜日は十五夜でございます。『名月の夜聞く明治の作者かな』久保田万太郎がこう読んだ明治はもとより、昭和平成ですら遠くなった感がございましょうか。えー令和の今、こうしてまたマイクの前で話す日が来るとは何とも驚くばかりですけれども。では、この曲でどうぞご一緒にお寛ぎください。日本では1964年に放送されたアメリカのテレビドラマの主題曲『バークに任せろ』
故人の声をAIで再現するという試みに対しては、どこか微妙な引っかかりや違和感を覚えてしまうのが本音ではある。しかし、彼が「令和のシルバーウィーク」という同じ時間を生き、語りかけてくれているような言葉を聞くと、「ああ、生きていれば本当にこんなことを言いそうだな」と懐かしさが込み上げてきた。
若山弦蔵といえば、かつて夕方に放送されていた「東京ダイヤル954」が強く記憶に残っている。「お疲れ様、5時です」というお決まりの掛け声とともに始まるあの番組は、実家で母が夕食の準備をしているそばで、いつも流れていたラジオだった。
思えば、自分がラジオを聴くようになったきっかけは、間違いなく母の影響が大きい。
それだけではない。朝食に食パンを食べることや、ときおりインスタントコーヒーを飲むといった日々の何気ない行動も、振り返ればすべて母の習慣がそのまま自分の生活の一部として根付いたものだ。
月日の経過とともに、母も高齢となり、最近では少しずつ意思疎通が難しくなってきたことを実感せざるを得ない場面が増えている。どこか寂しさを感じ、気持ちが離れていってしまうような切なさを覚えることもある。
しかし、自分自身の立ち振る舞いや日常の習慣の中に、しっかりと母の面影や形跡が残っていることに気づくとき、遠くなりつつあった母の存在が、再び少しだけ身近に戻ってきたような感覚を思い出した気がした。