8313 値上げに思う

東京ディズニーリゾートでまた値上げが発表されたというニュースを目にした。
度重なる値上げはファンにとって大きな痛手で、ニュースのコメント欄を覗くと、悲痛な叫びや落胆の声で溢れかえっている。
似たような光景は、マクドナルドやCoCo壱番屋などの身近なチェーン店が値上げを発表した際にもよく見られる。
「もう行かない」「高すぎて行けない」「これでは客足が減るのではないか」といった厳しい意見が相次いで寄せられるのがお決まりのパターンだ。
しかし、これらの企業に共通しているのは、相次ぐ値上げによってむしろ過去最高益を更新しているという現実である。
企業側も無計画に価格を上げているわけではなく、値上げによって一定数の客が離れていくことは重々承知の上で舵を切っている。
言ってみれば、企業側が「客を選別する」フェーズに入ったということなのだろう。
かつてのデフレ時代、価格は上がらず、安くて質の良いサービスが当たり前のように提供されていた。
あのころは、いわば「誰もが客として歓迎される」幸せな時代だったのかもしれない。
日本人は長らく、企業から「選別される」という体験をしてこなかったのだと思う。
振り返ってみれば、先に挙げたような場所には自分もかつてよく足を運んでいたが、いつの間にかすっかり行かなくなってしまった。
行かなくなった理由は値上げだけではないものの、価格の変化が無関係だったと言えば嘘になる。
企業がサービスに対して正当な対価を求めるようになったのだと捉えれば、企業と顧客がようやく「対等な関係」になりつつあるとも言える。
この関係性の変化を考える上では、最近の企業によるカスタマーハラスメント(カスハラ)への毅然とした対応も無視できない。
これまで日本の企業は客に対してあまりにも下手に出すぎており、その状態が長く続きすぎていたように思える。
お互いに適度な緊張感を持って接することは、持続可能な関係を築く上でも大切なことだろう。
一方で、かつての「お客様は神様」的な、日本独特の手厚すぎる接客や企業努力こそが、日本の良さや文化的な魅力を引き出していた側面も否定できない。
そう考えると、今の変化を単に「対等で健全な関係になった」と手放しで喜べないような、どこか寂しい気持ちも残る。
そうした意味で、ニュースのコメント欄に溢れる批判や悲鳴は、長年親しんできたサービスに対する客側の戸惑いの声であり、かつての「幸せな関係」に向けた"別れの言葉"なのかもしれない。

