8272 所蔵作品展 MOMATコレクション(2026.5.26–9.13)

博物館・展覧会,芸術・デザイン

東京国立近代美術館へ
東京国立近代美術館へ

東京国立近代美術館で開催中の所蔵作品展 MOMATコレクション(2026.5.26–9.13)を観賞。

東京国立近代美術館には先週も来たばかりだけど、関連した作品も紹介されているということで、足を運んでみた。

今回も気になった作品を紹介していく。

福田平八郎《雨》
福田平八郎《雨》

福田平八郎《雨》1953年(昭和28年)
これのどこが雨かと思ったら、よく見ると瓦に雨粒の跡が点々とある。単眼鏡があってようやくわかった感じ。夕立の雨がぽつぽつと落ち始めたが、真夏の太陽に照らされた瓦の上で”雨脚を残しては消え、残しては消えていく”と平八郎は述べているそう。着目がとても強く印象に残った。こうした連続した構図は、重要文化財にも指定されいている《漣》(さざなみ)を思い起こさせる。

ジョアン・ミロ《絵画詩(おお!あの人やっちゃったのね)》
ジョアン・ミロ《絵画詩(おお!あの人やっちゃったのね)》

ジョアン・ミロ《絵画詩(おお!あの人やっちゃったのね)》1925年(大正14年)
名前は知っててもあまり彼の作品を知らないのだけど、「絵画詩」と呼ばれるシリーズとのこと。なんと書かれているかいえば、フランス語で「Oh!Un de ces messieurs qui a fait tout sa(おお!あの人やっちゃったのね)」と書かれてて、何をやってしまったのかと思ったら…ミロは「おなら」を主題にしたと言っているという。
読めないフランス語だし、何も言われなければ、とても崇高な作品にも見えてくるが、意外とこういうことって世の中には多いんじゃないか…と思えてきて楽しい。

菊池契月《名士弔葬》
菊池契月《名士弔葬》

菊池契月《名士弔葬》1908年(明治41年)
これも解説を読んだことで面白さがわかった作品。
発表時の題は「名士故聖を弔す」ということで、名士が聖人を弔っているようだが、そもそも聖人はどこにいるのか? 地中なのか、屏風と屏風の間なのか?発表当時、特にその構図が高く評価されたという。言われてみれば、なるほど、いろいろと想像ができる。

古沢岩美《餓鬼》
古沢岩美《餓鬼》

古沢岩美《餓鬼》1952年(昭和27年)
作者である古沢岩美は、招集され中国大陸へ出征した経験をもとに「私の戦争への総決算的作品」と呼んだそうだ。
正面の傷痍軍人の背後には、明治陸軍の父であり軍閥の権威であった山縣有朋(やまがた ありとも)の銅像があるが、鳩の糞が落とされ権威が地に落ちていることを示している。
周囲は、空襲によって破壊され瓦礫と化した荒廃した空間と、女性の裸体がいくつも見られる。極限状態の戦場を経験し、人々の死や飢え、人間性が崩壊していく様が描かれている。
当時の批評家からは「動機は理解できる。しかし出来上ったものは醜悪きわまるものだ」と酷評されたそうだが、これは評価する側にも、どこか後ろめたさを感じていたからではないか…なんて思った。

中村宏《基地》
中村宏《基地》

中村宏《基地》1957年(昭和32年)
この作品は以前も鑑賞していて気にはなっていたが、これまで取り上げてこなかったので、あらためて触れてみる。
描かれているのは、1957年(昭和32年)、群馬県の相馬ヶ原演習場で、薬英拾いの農婦をアメリカ軍兵士が射殺した「ジラード事件」だ。
その後の調べで兵士は、その農婦に声をかけ、あえて近寄らせてから銃を向け背後から発砲したという事実が判明する。当然、日本の世論は猛反発するが、結局、裁判では執行猶予つきの有罪判決となって実刑にはならなかった。
これについては「(反米感情に考慮して)裁判権は日本に譲るが、判決は執行猶予付きの軽いものにする」という密約を交わしていたことが明らかになっている。
中村宏の作品で以前から知っていたのは砂川事件を扱った《砂川五番》(東京都現代美術館)もそうだが、日米の力関係をまざまざと見せつけられる気がする。

山口勝弘《ヴィトリーヌ No.47(完全分析方法による風景画)》
山口勝弘《ヴィトリーヌ No.47(完全分析方法による風景画)》

山口勝弘《ヴィトリーヌ No.47(完全分析方法による風景画)》1955年(昭和30年)
前面のモールガラスによって、鑑賞する位置でイメージが変化する作品だが、これで思い出したのが、以前、日本テレビで、放送開始・終了時に流されていた「鳩の休日」だった。あらためて検索してみたら、ちょっと違った。

なんとなく似てると思ったのだけど…
なんとなく似てると思ったのだけど…
なつかしい”鳩の休日”
なつかしい”鳩の休日”
《スギモトノート》
先週行った展覧会「杉本博司 絶滅写真」に関連して公開されていた「スギモトノート」。これは作品についてのアイディアをはじめ情報などを記したもので、作品ができあがるまでの舞台裏のよう。《劇場》のシリーズや、《海景》シリーズについての記載がある。どちらも失礼ながら構図自体は単純に思えるが、ものすごく綿密な計算があったうえに成り立っていることがわかる。
《スギモトノート》
《スギモトノート》
《スギモトノート》
《スギモトノート》