8266 長谷川潔展
パナソニック汐留美術館で開催中の「長谷川潔展」を観賞。
この展覧会の正式名は、「町田市立国際版画美術館所蔵 長谷川潔展 ―パリに生きた銅版画家の軌跡」ということで、ときどき行っている町田市立国際版画美術館収蔵の作品が主な展示で、実は4年ほど前に町田で鑑賞している。
今回、唯一の写真撮影スポット以外の撮影が禁止されていたが、町田では一部の作品の撮影が許可されていた。
どんな写真を撮っていたのかを振り返ってみたら、その”一部”のいずれも、とても印象的であったり、彼を語るうえで重要な作品ばかりだったので、今回気になった作品と合わせて、当時撮った写真を紹介したい。
こちらについては、写真はなかった。
彼は、メゾチントで有名だが、初めてメゾチントに触れてから独自の研究をした結果、あえて縦横斜めに刻んだ線状の傷を意図的に露呈させるようにした。当時のフランス版画界では独創的な表現として注目を集めたという。たしかに彼の作品には、独特の線状の傷がある。なるほどこれが、彼の作品の特徴なのか…

《エッフェル塔と雲》 1933年
エングレービング。こうしたパリの景観は多くの版画家が取り上げてきた定番モチーフということのようだが、多くは人物が入ることが多いところ、彼の作品ではまったくいない。このことから、日常のバリの噴騒とは異なる静けさが描かれているという。

《摩天楼上空のポアン・ダンテロガシオン号》1930年
メゾチント。1930年にパリ・ニューヨーク間の大西洋横断飛行をした飛行機を描く。飛行船、超高層ビルという20世紀モダニズムの時代を象徴する機械文明的なモチーフを古典的な銅版画にしたところが彼の独自性だそうだ。

《一樹(ニレの木)》1941年
第二次世界大戦下、ドイツ軍のパリ占領によって市民の生活が困難を極めたある日、自分が波長を合わせれば万物それぞれの声をくことができる…という神秘的な悟りを得たそうだ。
このニレの木は、風雨にさらされた表皮や技ぷりを緻密に刻むことで、その内に宿る神性へ近づこうとした、画家としての転換点となった作品とのこと。
こういう解説がないと、簡単に流してしまいそうだ。

《骰子独楽と幸運の星》1961年
解説によれば、回転する独楽を生命の躍動に見立てて…軌跡や倒れるまでの時間、そして最後に現れる目の数字に、人の人生を重ね合わせた。3つの輪は人間の業績を、直立するピンと倒れ伏したピンはそれぞれ勝者と敗者を象徴している。その傍らに置かれた星形のバズルは、彼が「幸運の星」と名付けたオブジェで、解体し組み立てる根気があればいつか成就がもたらされるという教を秘めている…とあったが…なかなか難しい…



