8263 ”たまたま”だったのかもしれない
定期的に配信されてくる「ゴールドオンライン」の記事は、実例を紹介する形式をとりながらも、どこか創作めいた不自然な内容が散見される。
そのため、コメント欄は読者からの手厳しいツッコミで溢れていることが少なくない。
今回目にした記事も同様の印象を抱きつつ、寄せられたコメントを眺めていたところ、ふと深く考えさせられるテーマに突き当たった。
それは、大学進学時における奨学金の返済に関する問題である。
奨学金の返済負担については度々ニュースでも取り上げられるが、1990年代前半の大学在学当時を振り返ると、周囲で奨学金を利用している人間はそれほど身近にいなかった印象がある。
これほど社会的な話題になるということは、現代の利用割合はどれほど高まっているのだろうか。

気になって調べてみると、驚くべきことに現在の大学進学者のうち、約5割以上が何らかの奨学金を利用しているという実態が判明した。
しかも、その利用率は、この20年ほどで急激な上昇をたどっているようだ。
当時の学生生活を顧みれば、決して学費を払ってもらうことを当然だと考えていたわけではない。
しかし、どこかで「親が学費を出してくれるものだ」と思い込んでいた節があり、周囲の環境も比較的似たような状況が多かったように記憶している。
だが、今になって改めて思い至るのは、決して安くない入学金や授業料を親がすべて負担してくれたという事実は、決して必然ではなく、あくまで「たまたま」その環境に恵まれていたに過ぎないということだ。
もし、現代の厳しい社会状況の中に身を置いていたとしたら、果たしてどうなっていただろうか。
同じように将来の返済義務を背負って社会へと踏み出していた可能性も、決して否定はできない。
数百万円という大金を黙って工面し、現在の人生の基盤を作ってくれた両親には、あらためて深く感謝せずにはいられない。