8245 東京スイソミル

ビジネス・経済,博物館・展覧会,科学

今日は所用があって潮見駅まで行ったついでに、「水素情報館 東京スイソミル」という施設に立ち寄った。

ここは、水素や水素社会の将来像について、見て触って体験しながら楽しく学べる総合的な学習施設だ。

京葉線潮見駅から歩いて10分弱
京葉線潮見駅から歩いて10分弱
けっこうお客さんがいた
けっこうお客さんがいた

事前の勝手な思い込みで、それほど来館者は多くないのではないかと予想していたが、実際には多くの家族連れで賑わっていて、ちょっとビックリ。

館内では、パネルや模型など様々な手法を用いて水素の特徴が紹介されている。

晴海フラッグは何度も行ってたけど…
晴海フラッグは何度も行ってたけど…

水素に関する基本的な知識は持っているつもりだったが、あらためて専門的な解説を見聞きすると、意外に知らないことも多く、非常に勉強になる。

これまで何度も足を運んでいた晴海フラッグにおいて、水素パイプラインが敷設されていて、実際に水素が活用されているということは初めて知る事実だった。

水素のパイプラインとはどのような特殊なものかと思ったが、都市ガスと同じ材質の管を流用できるのだという。

水素を使った聖火トーチ
水素を使った聖火トーチ

また、晴海フラッグは東京2020オリンピック・パラリンピックの選手村として整備された場所だが、同じく大会関連で、聖火リレーのトーチの燃料に水素が使われていたことも新たな知見だった。

こうした広報施設であるため、展示では当然ながら水素によって「バラ色」の未来が開けているかのように紹介されている。

しかし、一歩引いて落ち着いて考えてみると、必ずしも利点ばかりとは言えない現実も見えてくる。

先述の聖火トーチについても、すべての区間で水素仕様のものが使われたわけではなく、実際には限られた場面でしか採用されていなかったようだ。

通常のトーチと比べて重量がかなり嵩むことや、燃焼時間に制限があること、さらには気化熱によって急激に温度が低下し、トーチ自体が冷えてしまうといった技術的な課題が多く存在したためである。

また、館内では水素の製造方法がその由来ごとに以下のように分類・紹介されていた。

  • グリーン水素(再生可能エネルギー由来の電力を利用して製造)
  • ターコイズ水素(メタンの熱分解によって生成)
  • ブルー水素(化石燃料を原料とするが、排出されるCO2を回収・貯留)
  • グレー水素(化石燃料を原料とし、製造過程で大気中にCO2を放出)

一見するとクリーンな選択肢が豊富にあるように映るが、後から実態を調べてみると、現在流通している水素の99%以上は「グレー水素」であり、それ以外は極めてわずかな割合にすぎない。

そして、その僅かなクリーン水素の大半も、化石燃料依存から完全に脱却したわけではない「ブルー水素」なのだという。

ここでもやはり、化石燃料が持つ圧倒的な供給力と存在感を思い知らされることになる。

施設では「次世代のクリーンエネルギー」として水素の有効性が強調されていたが、多額のコストをかけて水素を生産し、それを利用するシステムが、現時点では決して真の意味でのクリーンエネルギーになり得ていないというのもまた動かしがたい事実だ。

だからといって、水素の活用そのものを否定するつもりは毛頭ない。

こうした山積する現実的な課題を、今後の技術革新によってどのように克服していくのか、その動向にこそ、より注意深く注目していきたいものである。

Posted by ろん