8229 現代の鉄道旅の変容を感じる
昨年、開発趣旨などの第1報が出されていたJR東日本の新しい夜行列車について、名称や運行ルート、車内設備などの具体的な詳細が新たに発表された。
名称は「ルナ・アズール」(Luna Azul)。スペイン語で「青い月」を意味するそうだ。
今回の詳細発表において、意外性を持って受け止められたのは、季節や運行時期によっては夜行列車としてだけでなく、品川-長野原草津口間で、日中を走る「昼行(ちゅうこう)列車」としても運用されるケースがあるという点だった。
なお、品川-青森間の夜行列車として運行されるシーズンにおいては週2往復のペースで設定されるとのことであり、プレミアムなクルーズトレインなどと比較すれば、比較的乗車機会を得られる確率は高そうである。

公開されたプレスリリースなどの資料を確認すると、車内での夜間の過ごし方について、イラストを用いた具体的なシチュエーションの提案がなされていた。
その描写の中で注目すべきは、車内で過ごす乗客たちが、枕や布団といった本格的な寝具を使用していない点であった。
この仕様こそが、この列車をあくまで「夜行列車」と呼び、決して「寝台列車」とは表現しない最大の理由になっているものと推測される。
また、資料内に配置されているイメージイラストに生成AIによる画像が活用されている点などは、非常に現代的なプロモーション手法であると感じさせる。
また、現代的という意味では、車内での「過ごし方のモデルケース」をあらかじめ具体的に提示されなければ、旅のイメージを膨らませにくいのかもしれないとも感じた。
かつての夜行列車のように、乗客が自らの旅程や目的に合わせて自由に列車を使いこなすというよりは、鉄道会社側が用意したある程度型にはまったパッケージや企画に乗るというスタイルが主流になるのは、時代の流れとして致し方ない面もある。
しかし、このようにあらかじめ「作られた非日常感」にそのまま乗っかるという構造に対して、どこか一抹の引っかかりを覚えてしまうのは、かつて自身の裁量で夜行列車を旅に組み込んでいた世代の、勝手なノスタルジーに過ぎないのだろうか。
現代の鉄道旅の変容をあらためて考えさせられた。