8225 都内の無料企画展をめぐる

博物館・展覧会,歴史・地理,芸術・デザイン

今日は、都内で開催されている3つの無料企画展を続けて巡る、密度の高い1日となった。

それぞれ異なるテーマを持ちながらも、はからずも、人の生活様式や意匠の歴史に深く迫る、見応えのある展示ばかりであった。

まず、四谷三丁目にある駐日韓国文化院のギャラリーMIで開催中の、Touring K-Arts 特別企画展「螺鈿匠(らでんしょう)の図案室」を鑑賞した。

「螺鈿匠の図案室」展
「螺鈿匠の図案室」展
沈富吉《螺鈿漆長生文函》1980年代
沈富吉《螺鈿漆長生文函》1980年代
高麗時代から約1,000年にわたり受け継がれてきた韓国の伝統工芸「螺鈿漆工芸」に焦点を当てた展示だった。完成された螺鈿漆器そのものだけでなく、作品の造形美を決定づける核心要素でありながら表に出ることの少ない「図案(下絵)」も合わせて紹介しているところかもしれない。

韓国の螺鈿は初めて鑑賞したが、非常に繊細かつ緻密な技術で作り込まれていることがわかる一方で、これまでに目にする機会の多かった日本の螺鈿や漆工芸と比較すると、描かれるモチーフのバリエーションにおいて、どこか規則的あるいは単調な印象を受ける側面もあった。

しかし、いずれの作品も当然ながら、完成度は極めて高く、名匠たちの技は伝わってきた。

ここ駐日韓国文化院は、韓国の文化を伝える拠点となっているようで、さまざまなイベントが開催されている。

奥にあった自販機には韓国の飲み物が売られていたので、すりおろしの梨ジュースを購入。

ちょうどお昼だったので、近くにあった讃岐うどん屋で昼食。

韓国の梨ジュース
韓国の梨ジュース
昼食は讃岐うどん
昼食は讃岐うどん

次に向かったのは、新宿歴史博物館で開催中の所蔵資料展「O-BENTO-BAKO お弁当箱 ~遊び心と食文化~」を鑑賞。

屋外へ食事を持ち出す際に用いられてきた「お弁当箱」の歴史と、そこに施されたデザインの変遷を一堂に集めている。

「O-BENTO-BAKO お弁当箱」展
「O-BENTO-BAKO お弁当箱」展
いろいろなお弁当箱がいっぱい
いろいろなお弁当箱がいっぱい

単なる実用的な容器としての側面に留まらず、食べる行為をより豊かなものにするために凝らされた、江戸時代以降の意匠や創意工夫が紹介されている。

弁当箱が楼閣になっていて、見る人を驚かせるだけに特化し、可搬性ゼロの「楼閣形弁当」は、見ているだけで楽しい。

「黑滚組弁当」は、外枠が酒筒になっており、温かい飲み物を入れておくと、重部分を保温することができるという機能性の高い弁当箱もあって、本当にバラエティ豊かだ。

当時の人々が携帯用食器に注いだ遊び心と、日本の豊かな食文化の広がりを垣間見ることができる内容であった。

《楼閣型弁当》
《楼閣型弁当》
《黒漆組弁当》
《黒漆組弁当》

今日最後に訪れたのは、飯田橋駅と水道橋駅のあいだくらいにある、日中友好会館美術館へ。

こちらで開催中の特別企画展「心惹かれるチャイナドレス ―― 100年前のモダン都市に生まれた美の装い」を鑑賞した。

それほど告知もされてるような目立つイベントでもないと思ってたので、入場規制されているほどお客さんがいたのはびっくりだった。

「心惹かれるチャイナドレス」展
「心惹かれるチャイナドレス」展
入場規制していた
入場規制していた

1900〜1940年代における、アンティーク・チャイナドレスの変遷をたどっている。

清王朝の伝統的な民族衣装から、西洋の立体裁断の影響を受けてモダンなファッションへと変化していく過程が、実物資料とともに年代順に紹介している。

それまで漢民族の女性たちが穿いていたツーピースの「上衣下裳」や、満洲民族の伝統的なゆったりとした長着である「旗袍」が、西洋ファッションの要素と融合し、身体の曲線を美しく引き立てる洗練されたチャイナドレスに変化していく。

また、歩行の自由を奪う古い風習であった「纏足(てんそく)の靴」などの特別展示もあり、単なる衣服の流行に留まらず、女性の社会的地位の向上や身体観の解放といった歴史的背景を色濃く伝える内容となっていた。

チャイナドレスの歴史を紹介
チャイナドレスの歴史を紹介
纏足の靴の展示も
纏足の靴の展示も

Posted by ろん